帝塚山大学オリジナルの日本酒「酒輪(しゅわ)」――名前の由来は「シュワシュワ」というスパークリングの音と「お酒が取り持つ人の輪」をイメージしたものだ。昨年、大学創立50周年を記念し、学生らが地元奈良の酒造会社と共同で開発した。名付け親でもある同大学文学部文化創造学科2年の前田好美さん(19)と、発起人の同科・河口充勇准教授(42)に、共同プロジェクトの狙いについて聞いた。(聞き手・オルタナS関西支局特派員=宮武 由佳)
――プロジェクトを始めるきっかけは。
河口:歴史ある奈良のお酒の魅力を若者に発信したいという思いが出発点です。奈良県桜井市にある大神神社は古くからお酒の神様として知られ、日本酒の発祥の地と言われています。また、大学創立50周年のコンセプトが「絆」であったことから「過去と未来」「先輩と後輩」「大学と地域」を結ぶ何かをつくりたいと考えました。
前田:河口先生に誘っていただき、参加しました。高校では「歴史文化科」で奈良の寺社仏閣やまちづくりを学び、地域活性化に興味を持っていました。
――「酒輪」に込めた思いは。
前田:学生は主にラベルのデザインを担当しました。日本酒と言うとどうしても年配の方向けのイメージが強いので、若い人にも気軽に手に取ってもらえるよう、ハートを背景に泡をデザインしたラベルを作りました。昨年4月から約4カ月間、学生9人で毎週会議を続け、完成させました。
河口:お酒は2013年に創業120周年を迎えた老舗の梅乃宿酒造株式会社(奈良県葛城市)のものを使用し、学生が作ったラベルを貼っています。社長は帝塚山大学の先輩でもあり、全面的にサポートしてくれました。今回の「酒輪」は非売品ですが、将来は商品化できればと考えています。
――今後の活動について。
前田:地元のタウン情報誌「ぱーぷる」とコラボし、奈良のお土産を作るプロジェクトを進行中です。自分たちが「動く」ことも大事ですが、今はまず「知る」ことに重点を置いています。「酒輪」のプロジェクトで初めて、奈良のお酒の歴史を知りました。地域活性化のために活動しながら奈良について深く学んでいきたいです。
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