温室効果ガス排出削減策等を協議する会議、通称COP(Conference of the Parties)について耳にしたことのある方は多いだろう。今回の模擬COP21は、今年度パリで開催される「COP21」に先駆けて開催されたパリでの学生主体の模擬COP21が大成功を収めたことを受けて、日本で行われる学生主体の環境イベントだ。今回の模擬COP21は、主に、日本が各先進国と同様に野心的かつ実現可能な約束草案を作成するように働きかけるのが狙いだ。
しかし、狙いはそれだけではない。このイベントの裏側には、私たち若者世代が将来的に環境問題を解決しなければならないことを認識・共有し、そのための一大ムーブメントを起こしたいという企画者側の強い思いがある。「この模擬COP21が、これからの時代を担う若者の間でのムーブメントの端緒となれば」と日本模擬COP21実行委員会代表の千葉恵介さんは力強く話す。1.「環境問題に対する若者の意識を変える」
まずみなさんは、環境問題を、自分の身の回りに重大な影響を及ぼすものだと認識しているだろうか。ニュースで聞くことはあるけれど、あまり実感がないという方は多いのではないだろうか。たしかに、環境問題は地球全体で起こっているスケールが大きい問題であるため、「他人事」に感じてしまうのも無理はない。
そのような状況は千葉さんの周りにもあったようで、最初の難関は、「参加者集め」だったそうだ。周りで起業などをして精力的に活動している仲間たちに声を掛けても、返ってくるのは「環境問題には興味がない」という言葉ばかり。他の世代に比べて若者の環境に対する意識が低いことは統計でも示されていることだが、実際大学生として生活していく中で、このような意識の差を実感する経験は筆者自身にとっても少なくはない。
しかし、本当に身近な問題でないのだろうか。千葉さんは、「温暖化の影響でジェット気流が蛇行し、日本でも異常気象が起きている」ことを挙げ、地球温暖化をはじめとする環境問題が日本人にとっても身近な問題であることを示す。このように、「スケールが大きすぎて実感が湧きにくい環境問題を身近な現象に引きつけた形で示して、実際に起こっている環境問題の深刻さを知ってもらい、まずこの問題に興味をもってもらいたい」という。その活動の一環としてこの模擬COP21がある。