東京・文京区で、高齢者と若者が一つ屋根の下で暮らす「異世代ホームシェア」が広がっている。一人暮らしをしている高齢者宅の空き部屋を片付け、そこに近隣学生を住まわせる。高齢者は孤立感の解消につながり、学生は知識を学び、格安で住むことができると評判だ。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
この取り組みを仕掛けているのは、街の活性化を行うNPO法人街ing(マッチング)本郷(東京・文京)。プロジェクトの名称は、「ひとつ屋根の下プロジェクト」。文京区に住む大学生・大学院生が、一人暮らしをしている高齢者宅の空き部屋を借りて、ともに生活をする。
学生と高齢者は、週に何度か一緒に夕食をとるなど団らんの機会を持つ。異世代が共に暮らすことで、見守りや、生きがいを生み出し、新しい共助の関係を築いている。
高齢者側のメリットとしては、孤立感の解消や生きがいづくり、夜間の不安の解消、健康寿命の増進などが挙げられる。学生側のメリットとしては、高齢者からの知恵や経験を学べ、大学の近くで格安で住めることなどがある。
街ing本郷を立ち上げたのは、本郷を拠点とする商売人たち。全員、50年以上本郷に暮らし、この街を愛している理事たちだ。代表理事は、鮮魚店「魚よし」三代目の長谷川大さん、副代表理事は、和菓子店「喜久月」店主の栗田洋さんと薬局「芙蓉堂」を経営する川又靖則さん。
高齢化が進むなか、若者と高齢者の共生を目指す取り組みに企業も応援する。その一つが、トランクルームを運営するキュラーズ(東京・品川)。ひとつ屋根の下プロジェクトで片づけたモノを、同社が提供する「想い出BOX」に梱包し、対象店舗に持参すれば、無料で保管するサービスを開始した。
キュラーズのマーケティング部広報池田大和氏は、「保管スペース問題はトランクルーム事業を展開しているキュラーズだからこそ支援できると感じ、この連携の働きかけを決めた」と話す。
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