2.「模擬」だからこそできるチャレンジ

模擬COP21の目玉の一つは、国家だけでなく「non state entities」にも国家と同等の発言権を与えていることだ。本会議で「non state entities」として登場するのは、「土壌・海洋・森林」である。今まで国家間の交渉が主だった気候変動対策国家交渉の場に、いわば気候変動の被害者、対象者を含めることでよりラディカルな交渉を目指す。

これは実際のCOPでは実現可能性が低い試みで、「模擬」だからこそできるチャレンジングな取り組みであると言えよう。また、言語の壁に妨げられない深い議論にするために、参加大学生の多くが母語とする日本語を開催言語とする。このような「模擬」ならではの取り組みが重なり、良い意味で思わぬ化学反応が起こることが期待される。

代表の千葉恵介さん

代表の千葉恵介さん

3.模擬COP21だけで終わらせない

様々な思いが詰まった今回の模擬COP21だが、千葉さんが強調するのは「模擬COP21だけで終わらせない」ということだ。この会議は、未来を担う若者の間での、環境問題に関する一大ムーブメントの端緒に過ぎない。もっとも、環境問題についての活動というと、変に不安を煽ったりするイメージがあるかもしれないが、ここでいうムーブメントとは、模擬COP21で得た問題意識をもとにした「持続的な社会的ムーブメント」である。その第一段階として、今月8月30日のMovement DAYを一般開放することで、この会議を会議参加者の間の満足だけで終わらせず、その成果を広く認知してもらうことを目指す。

さらに、今年11月26日から28日にかけてパリで開催されるユース会議に参加して、模擬COP21の成果や日本人の環境問題に対する生の声を世界に対して発信する予定だ。その後今年12月中には報告会を開き、多くの日本人にこの模擬COP21について知ってもらう機会を設けるという計画もある。今後も、どうすれば様々な人に面白いと思ってもらえるかを探りながら、環境問題に興味関心を持たない若者にまで浸透するようなムーブメントを起こすための取り組みは続く。

4.若者による若者へのメッセージ

「日本人の心」つまり日本古来の自然共生型の思考や日本人ならではの感覚、日本の高い技術力をもって、日本は「環境先進国」であり続けることができるし、そうであることが必要だという。続けて千葉さんは、私たち同世代に向けてこう話す。

「まず環境問題に関心を持ってほしいという思いがあります。環境問題について重く考えずに、環境が破壊されることによってどのような影響があるかなどを少しでも調べてほしいと思います。地球温暖化の影響が自分たちの身近にあることを認識して、一歩でも半歩でも、ぜひ進んでほしいです」。

そして動くなら今年しかない、なぜなら今年が人類に最大の影響を与える年になるかもしれないといわれているからだ。「今年動かなければ、取り返しのつかないことになる」という危機感の下で実行委員の方は活動を続けている。

このような熱い思いを感じ、決して自分が環境問題の解決に無力だと決めつけないで、ぜひ「一歩でも半歩でも」踏み出してほしい。その歩みの最初のステップとして、8月30日に日本橋の3×3Laboで開催されるMovement DAYに参加し、熱い思いをもつ同世代の仲間の話を聞いたり語り合ったりしてはいかがだろうか。きっと、あなたの中で確かなステップになるだろう。

模擬COP21

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