学生団体LGBT Youth Japanは今年3月、ニューヨークへのスタディツアーを行った。ツアーでは、LGBT支援を行う先進企業や団体を訪れた。その模様を報告してもらう。今回は、ダイバーシティに力を入れているグーグルを紹介する。
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Googleではすべての社員が繁栄できるような環境を創り出すことを目標とし、社員のダイバーシティ化の推進を行っている。社内には女性や様々な人種などのグループと並列してLGBTのGayglersという団体がありプライドパレードのサポートや社員間の交流を行っている。
最初にGoogleの社内の見学をしながら説明を受けた。社内のいたるところに遊び心が溢れていて、最初に通されたのがレゴブロックがたくさんあるスペース。各フロアにはNYや季節などのテーマが設定されており、会議室の名前もそれにちなんだもの。電車の車両をモチーフとしたスペースもあり、社内を見てまわるだけでも「会社像」がガラリと変わる経験になった。最後にカフェテリアで昼ご飯を食べながら社員との座談会を行った。自由に遊べるレゴブロック、フリードリンクやスナック付きのカフェスペース、社員の連れてきたペット用のフリーおやつ、食堂には様々なジャンルの有名シェフの写真とスケジュールが貼りだされ、ゲームや卓球台のある遊技場もある…すべてが私のイメージしていた「会社」の中にはないものたちで、それを見ただけで、LGBT以前に「自分らしく」働くことのできる環境であるということが分かった気がした。
社員と話す中で、Googleの掲げている理念(Diversity Policy)という言葉がよくあがった。理念のなかで「他者の権利をはく奪できない」とあるため、社員のなかでいじめや差別が起こることはなく、制度に関して変更点があれば、迷うことなく訴えることができる、とのことだ。その理念を理解している人にしか働いていない会社、という安心感が、より一層社内の多様性を推進していっているようだ。
社内の草案をつくったというトランスジェンダーが、「変えたいことがあれば上司にきちんとプレゼンを行えば変えられる」と堂々と答えている姿に、何事にも「変えられない」「それは難しい」と構えてしまっていた自分がいたことに気付かされた。
もちろん、Googleのそのような風土の背景には若い会社であることや、創立者の中にゲイ男性がいたことがある。しかし、LGBTだけに特化せず、その切り口から「どんな人でも声をあげやすい」環境を日本でつくりたいと思わされる時間だった。就職活動で誰もが同じスーツ、髪型、化粧まで制限される日本では、どんなところから変えていければ良いのか? Googleのような環境は難しいにしても、もう少し「自分らしさ」が認められるような場所を自分の周囲から増やしていきたい。(学生団体LGBT Youth Japan公式ブログから抜粋、一部編集)
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