ジュエリーブランドEDAYAは6月12日、トーク&展示イベント「Creativity of Minority カリンガの創造性から生まれたもの」を開く。同ブランドのジュエリーは、経済発展により失われつつある、フィリピン・北ルソン島に暮らす山岳先住民族の無形文化に着想を得て作られた。同日は、北ルソン島から職人が来日し、「マイノリティの美しさ」について思いを話す。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

北ルソン島にルーツを持つEDAYA

北ルソン島にルーツを持つEDAYA

同ブランドを立ち上げたのは、山下彩香さん。同ブランドが日本での販売を開始したのは2012年10月。山下さんは、フィリピン・北ルソン島に暮らすカリンガ族のエドガーバナサン氏とともに、duo edayaというユニットを組み、伝統楽器とジュエリーを販売した。

北ルソン島は、1500~2000メートル級の山々がそびえ立ち、山岳民族は、自然の恵みに感謝しながら暮らしていた。そして、音楽や伝統技術などの無形文化が世代から世代へと受け継がれてきた。

しかし、貨幣経済の導入や携帯電話の普及で、彼らの生活は変わっていった。フィリピンの公用語の一つが英語であるため、欧米からの情報を得て、若者が外の世界に憧れを抱くようになっていったのだ。次世代が自文化を顧みなくなったため、受け継がれてきた無形文化が途絶えつつある。

そんな状況に、エドガー氏は立ち上がった。「経済発展により失われつつある文化を次世代につなげたい」と一人奔走した。しかし、外部からの情報が入った地域では、エドガー氏のように考える者は少数で、その思いは、周りに届かなかった。

このときに、日本からボランティアで来た山下さんと出会った。当時、エドガー氏はボランティアで伝統音楽を披露し、金鉱山で働いていた。彼はプロの伝統楽器の演奏家で、演奏する楽器を制作する伝統工芸家でもあった。日本では尊敬されるはずの伝統工芸家も、フィリピンでは生活していけないのが現状だ。お金を稼ぐために、危険な金鉱山で働く人が多く存在するという。

エドガー氏の思いを聞いた山下さんはエドガー氏とジュエリーブランドを立ち上げることに決めた。エドガー氏は竹楽器職人であり、現地の竹を使って、イヤリングやピアスなどをつくった。それを日本で販売することで、彼らの文化を途絶えさせることなく、生活を支えていくことを目指した。

同ブランドが立ち上がって、今年で4年目を迎える。同日は、エドガー氏が日本に来た際に得たインスピレーションを、フィリピンの伝統技術・文化と融合させた作品「ANG ANGA」シリーズを中心に展示する。トークイベントでは、カリンガの文化とともに作品がどのような背景で生まれたのかについて話す。

【Creativity of Minority カリンガの創造性から生まれたもの】
とき:6月12日(日)11:00-15:30 (最終入場 15:00までとなっております)
ところ:「居場所」東京都渋谷区渋谷1-7-5 青山セブンハイツ1006号室
申し込みはこちら
※職人のエドガーバナサン氏は都合により、13時頃から参加いたします。
 時間は前後する可能性がございますので、あらかじめご了承ください。
 トークイベントでは、通訳がつきます。

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