美容・ヘルスケア業界の求人大手のリジョブ(東京・新宿)は2015年4月から、事業で社会的課題を解決するCSVを現地のNPO法人ACTIONと共同でスタートした。フィリピンでセラピスト養成講座を開き、現地の若者に雇用創出の機会を与えている。同国のマニラ首都圏などで養成講座を開き、週に3回、若者向けに無料講座を開講している。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

リジョブの鈴木社長、CSVの考え方で途上国に日本の技術を広める

リジョブの鈴木社長、CSVの考え方で途上国に日本の技術を広める

同社がCSV事業を立ち上げたきっかけは、2014年12月にビジョンを一新したことだ。ビジョンを「日本が誇る技術とサービスを世界中に広め、心の豊かさ溢れる社会をつくる。」にしたことで、世界中に日本の技術力を広める方法を模索していた。そのときに、事業で社会的課題を解決するCSVという考え方に出会った(同社鈴木一平社長)。

つながりのあるサロンオーナーがフィリピンで美容師の技術を教えており、その縁で、鈴木社長が同国を訪れた。同国では経済発展が加速する一方で、貧富の差が拡大しており、約25万人の子どもが路上生活を送っている。そのような子どもは、物乞いやごみ拾い等をして日に600~700円ほど稼ぎ生活している。

同国にはセラピストや理美容の国家資格はないが、手に職をつけることで、賃金を稼ぐことができ、自立支援となる。鈴木社長は何か力になれることはないかと考え、養成講座を開講することにした。

現在はマニラ首都圏とオロンガポ市において開講し、14歳から20代の若者30人ほどが通う。アドバンスコースでは日本人のセラピスト講師を派遣している。受講生は3カ月かけて学び、卒業試験を迎える。

これまでに入学者数は100人を超え、36人の卒業生を輩出し、6人が美容業界に就職した。2016年8月にさらに56名が卒業見込みである。養成講座に通う時間は働けないため、入学を思いとどまる子どもは少なくないという。同国の貧富の格差に本格的に取り組むため、フィリピンに駐在員を置き、事業を推進していく。

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