スマトラトラはインドネシアのスマトラ島にしか生息していない、絶滅危惧種のトラだ。しかし、最近スマトラ島では、トラと人間の衝突が問題になっている。そこで、南スマトラ自然資源保全局(BKSDA)とスマトラトラ保全基金(YPHS)は人間と野生生物との衝突が確認された地域からトラを移動させる取り組みを行った。同活動は、製紙会社アジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)の支援を受けている。
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スマトラトラ保全基金のトラ保護官バストーニ氏の指揮のもと、人とトラの衝突について調査が行われた。その後、南スマトラの植林地周辺で1頭のトラを捕獲し、南スマトラのベテット島にあるスンビラン国立公園内へ移動させた。捕獲されたトラは5歳の雌だ。
トラの繁殖に適しているのは、真水、生餌、乾燥した土地がある場所だ。この条件がそろったスンビラン国立公園内へ、トラはGPS機能付き首輪を装着された後に放たれた。
バストーニ氏は「人に遭遇したトラを安全に保護し、安全な解放を実現する過程では細心の注意が必要だ。綿密な計画、そしてトラのために協力して多数の組織が関わって活動することが必要だ」と語っている。
このような取り組みは、過剰な森林伐採や開発がなくならない限り、終わらないだろう。少なくとも人間の都合でこのような問題が起こってしまっていることは、肝に銘じておかねばならない。(オルタナS編集長 猪鹿倉陽子)