有楽町マルイ店で25日、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)の就職活動生向けにスーツの試着会が行われた。就職活動では主にスーツの着用が求められ、特に身体の性と心の性が一致しないトランスジェンダーの就活生には、サイズが合わず、着たい服が着られないという課題があった。自分らしいスーツを着ることで、自分らしく就職活動に挑む一助となる。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

右)採寸を測り、理想のスーツを着る就活生
左)店内入口には、LGBTのレインボーフラッグが置かれた

同日、同店でLGBT就活生がスーツの採寸を行った。その中の1人に、身体は男性だが、心は男女どちらでもないという学生がいた。一般的には、「MtXトランスジェンダー」と言われるセクシュアリティーの持ち主だ。

その学生は大学2年生。身長は178センチのスリムな体型で、足のサイズは28センチ。ジャケットとパンツはレディース、靴はメンズを選んだ。「頭の中で理想に描いていた服を着ることができた。面接でも、違和感なく自分のことを話せる気がする」と笑顔で話す。

■「演劇用」と説明する人も

今回の試着会は、LGBTの支援活動を行う特定非営利活動法人ReBit(リビット、東京・新宿)が丸井グループに話を持ち掛けて実現した。リビットの薬師実芳代表理事は、LGBT就活生が抱えるスーツの悩みについて、サイズの問題に加えて、精神的な壁も大きいと指摘する。

「自身のセクシュアリティーを販売員に打ち明けることに抵抗感があり、『演劇用に探している』と説明をする学生もいる」

薬師氏によると、日本にはLGBT向けのスーツ店はないという。心の性にあわないスーツ着用が求められると、苦痛に感じ、「自己肯定観にも影響が出る」と説明する。

薬師氏は、東京オリンピック・パラリンピックを備え、企業のダイバーシティ(多様性)やLGBTへの意識が高まっているという。今年1月、厚生労働省の「事業主が職場における性的言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(セクハラ指針)」に、「被害を受けた者の性的指向又は性自認にかかわらず、当該者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、本指針の対象となる」と明記された。

LGBTの状況は年々改善されてはいるが、アメリカのトランプ政権は、心と体の性が一致しない「トランスジェンダー」の生徒に、自分が望む性別のトイレなどを使用させるよう、公立学校に求めた前政権の指針を破棄するなど、国内外でまだ課題は多い。

■150~195センチまで対応可

特定非営利活動法人ReBitは企業や学校などで講習会を年間で約200回実施している。LGBTの若者が抱える最新の悩みを伝える。今回の試着会が始まった経緯も、今年1月に薬師氏が丸井グループの担当者に、スーツの悩みを話したことから始まった。

丸井グループでは、LGBT向けのブランドを立ち上げたわけでなく、もともと大小さまざまなサイズを展開していた。プライベートブランドでは、メンズは150~195センチ、靴は22.5~30センチ、レディースはウェスト55~88センチ、靴は19.5~27センチまで取り扱っている。

このサイズ幅を利用して、LGBT向けの試着会を行うにいたった。同社では、LGBTへの取り組みは始めたばかり。昨年2月、同社の青井浩代表取締役社長がLGBTの支援を行う杉山文野氏と出会ったことで、LGBTへの意識を高めた。

丸井グループの社員は約6000人。電通ダイバーシティ・ラボの調査では、LGBTは人口の7.6%とされているので、社内には500人弱がLGBTだと考えられる。

同社の井上道博・CSR推進部マルイミライプロジェクト担当課長は、「社内で制度はまだないが、いまできることを通して、すべてのお客さまに楽しんでいただけるお店になるための風土をつくっていきたい」と話す。

あえて、「LGBT向け」とは掲げないが、今回試着会を行ったプライベートブランドは、全国28店舗すべてにある。好評により、有楽町マルイ店では3月12日に第二回目の開催が決まっている。詳細はこちら

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