世界人口デーである7月11日、アントニオ・グテーレス国連事務総長は「ジェンダー平等」を強調するメッセージを寄せた。人口増、高齢化、国際移動などの今後の人口動態を見据えて、「ジェンダー平等の推進が持続可能な開発と福利改善への信頼できる道筋の一つ」と断言した。メッセージは下記。(オルタナS編集部)

写真中央がアントニオ・グテーレス国連事務総長、写真は国連広報センターが発行する月刊ニュースレターから

「続可能な開発のための2030アジェンダ」は、健全な地球ですべての人がよりよい未来を実現するために世界が描いた青写真です。私たちは「世界人口デー」にあたり、その使命が人口増加、高齢化、国際移動、都市化を含む人口動態上の傾向と密接に関連しあっていることを認識します。

世界の人口は全体として増加を続けていますが、その中身は一様ではありません。全世界の後発開発途上国の多くにとって、持続可能な開発の達成に向けた課題は、急激な人口増加や気候変動に対する脆弱性によって、さらに深刻化しています。その一方で、健康寿命を延ばし、十分な社会保障を提供する必要性をはじめとする高齢化の課題に直面している国もあります。2050年までに世界人口の68%が都市で暮らすことになると予測されるなど、世界が都市化を続ける中で、持続可能な開発と気候変動はますます、成長する都市をいかに管理するかに左右されるようになるでしょう。

私たちは、こうした人口動態を管理しつつ、人口と開発、個人の福利との関係を認識しなければなりません。25年前にカイロで開催された国際人口開発会議(ICPD/カイロ会議)において世界のリーダーは、人口と開発、そしてリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)を含む人権の関連性を初めて明らかにしました。また、ジェンダー平等の推進が正しいことであるだけでなく、すべての人にとっての持続可能な開発と福利改善に至る最も信頼できる道筋の一つであることも認識しました。

今年の「世界人口デー」は、カイロICPD会議で積み残された課題に全世界の関心を寄せるよう呼びかけることを主眼としています。

妊産婦死亡率と望まない妊娠を減らすことについては、前進が見られているものの、多くの課題も残されています。必要不可欠な保健サービスを含め、女性の権利の擁護を押し返すような動きが全世界で見られています。妊娠に関する問題は今でも、15歳から19歳の女性の最大の死因となっています。不平等に根差したジェンダーに基づく暴力は、依然として恐ろしい数の犠牲者を生んでいます。

11月にはナイロビで、カイロ会議25周年を記念するサミットが開催されます。私は加盟国に対し、最も高いレベルでこのサミットに参加し、ICPD行動計画の実現に向けて確固たる政治的、財政的な決意を示すよう促します。

ICPDのビジョンを前進させれば、取り残された人々に機会が生まれ、すべての人にとっての持続可能で公平かつ包摂的な開発に向けた道を切り開くことにも役立つでしょう。

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