熊本県の南部に位置する山江村は、人口3600人弱の小さな村である。昼間人口が7割であり、「ベッドタウン化」が進む。そこで、給食費無料化などの子育て支援と住民参加型の地域づくりを行い、脱ベッドタウン化へ向けた活動を行っている。(武蔵大学松本ゼミ支局=杉山 尚樹・武蔵大学社学部メディア社会学科3年)

左から、山江村役場職員の川口伸也さん・山江村村長の内山慶治さん・山江村議会議員の松本佳久さん

山江村は、日本で初めて、自治体として動画専門のホームページを作るなど、住民ディレクター活動の先駆けとして有名な村である。

住民ディレクターとは、住民が番組制作にかかわることで地域を活性化していく取り組みである。山江村の取り組みをモデルとして、全国18カ所が展開したことで、2009年には、総務大臣賞を受賞している。

山江村では、2010年にケーブルテレビを開局させた。山江村の良さを地域外にも発信することと、住民に魅力を再確認してもらうことを目的に情報発信を続けた。

住民が地域外に向けた山江村のPR番組を制作することで、人材養成にもつながり、地域づくりにも良い影響を生むという。

山江村のケーブルテレビの特徴として、住民ディレクターという存在が挙げられる。撮る側と撮られる側に距離がない。これにより、地元により密着した映像が撮ることができる。

ケーブルテレビについて語る 元住民ディレクターの横山浩之氏

ベッドタウン化している山江村に移住・定住者を増やすための政策として、子育て支援が挙げられる。給食費の無料化や高校生まで医療費の無料化、出産時と小学校入学時の補助金制度、ICT(情報通信技術)教育などがその政策の一環だ。

なかでもICTを導入した教育によって小学生の学力は全国平均を大幅に上回ることに成功し、これらが移住者を増加させているという。

「栗」を中心とした、地域の産業を盛り上げる活動も盛んだ。山江村の栗は1977年に天皇陛下に献上された栗として有名であり、昔は栗の価格の基準となっていた。

最盛期は年間300トン以上生産していたが、今では生産者の高齢化とともに衰退し、100トン程度にまで落ちてしまった。

栗の収穫量を最盛期に戻すために、山江栗を使ったスイーツ祭りを開催している。山江栗の魅力を全国にアピールしていることもあり、栗の需要が増え増産体制に入っているそうだ。

住民が自ら行う地域づくりの一環として、「山江村未来塾100人委員会」もある。これは2016年に発足したもので、約60人の住民が9つの部会に分かれて、地域づくりのためのワークショップを行っている。

地域に一番詳しい住民が話し合い課題を解決していくことで、住民が活躍できる場所が生まれ、居場所が実感できるようになるという。その実感は次第に愛着へと変わり、山江村をさらに好きさせるという。住民がやりたいことを考え、実践することで協力し合える環境にもなっていく。

こうした、地域住民による住民自治を進めている点も山江村の地域づくりの大きな特徴だろう。今後、さらに発展していくことを願う。

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