英化粧品ブランド「ラッシュ」の日本法人ラッシュジャパンは、海のプラスチック汚染を防止するため、プラスチック容器を使用しない新商品をハロウィン・クリスマス限定商品として10月6日に発売する。ボディークリームなどの液体製品を固形化する方式で対応するもので、「パッケージなんていらない」をキャッチフレーズに掲げていく。同商品を通して消費者にパッケージの必要性を改めて考えてもらう狙いだ。(オルタナ編集部=小松 遥香)

ラッシュの製品

ラッシュは環境配慮を理由に、パッケージの使用を最小限にとどめることを企業理念の一つに掲げている。日本でも、販売する商品のプラスチック容器や買い物袋は全てリサイクルされたものを使用。全国の店舗では、プラスチック容器を回収する取り組みを行っており、年間に販売した商品の4分の1の容器を店舗で回収してリサイクルしているという。

容器がなくても質や機能は変わらないのに、なぜ容器が必要なのか。ラッシュジャパンは今回、消費者にそれを考えて貰う狙いで、14種類の商品それぞれを2つの形態で販売する。一つは固形化させた「ネイキッド(包装しない)」商品。もう一つは、同じ商品を再生プラスチック容器にいれたものだ。固形化された商品のデザインは、容器に入った商品を模したものになっている。

英エレン・マッカーサー財団の調査によると、今後もプラスチック商品の生産は増え続けるとみられており、このまま対策を講じなければ2050年には魚の重量よりも海中のプラスチックの重量が大きくなると予想されている。

特に問題とされているのは、マイクロプラスチックと呼ばれる5ミリ以下のプラスチックだ。マイクロプラスチックは、使用済みのプラスチック製品が波や紫外線で微細化されることで生まれる。また歯磨き粉や洗顔などにもスクラブ材としても使われている。プラスチックには有害物質が含まれている場合もあり、魚や貝、水鳥がマイクロプラスチックを飲み込む危険性や人間が摂取することで生じる危険性が国際会議などでも指摘されている。

ラッシュではマイクロビーズの代わりに、スクラブ材やラメには鉱物や大豆、コーヒー豆、竹の繊維など自然素材を使用している。

広報担当の小山大作さんは、「商品を通して、海のプラスチック汚染や容器の必要性ついて考えるきっかけにしてもらいたい。消費の仕方で社会は変わる。固形商品は液体のものに比べ、使用する水の量が少ないという特性もある。今後、プラスチック容器を使用しない商品を増やしていく方針だ」と話した。

一方で、リサイクル素材を使うことにより容器のふたが締まりづらいといった課題に直面したこともあった。専門家を交えて試行錯誤した末、現在は解決しているという。この環境に配慮する姿勢は、商品の製造過程においても徹底されている。神奈川県にある工場では、原材料の果物の皮なども堆肥にし、リサイクルすることで廃棄物ゼロを達成している。

小山さんは「ラッシュにとって、エシックス(倫理)は事業の根幹にあるものだ。自然や動物、人に配慮した商品をどうつくるか。商品の前に倫理がある。倫理的な条件を満たしながら、遊び心もあり、幸せな気分になってもらえる商品をつくることが使命だ。製造コストが上がるという側面もあるが、広告費やパッケージにかかる費用を削ることで対応している」と説明した。



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