積水ハウス(大阪市北区)と宮城県東松島市が、災害公営住宅と周辺の病院や公共施設に、日本初のマイクログリッドにより電力を供給する「東松島市スマート防災エコタウン」の電力マネジメントシステムを稼働させた。東日本大震災で被害を受けた東松島市で、災害に強く、環境に優しく、地域経済活性化にも貢献するスマートタウンを実現する。(オルタナS関西支局長=神崎 英徳)
太陽光発電の電力を固定価格買い取り制度で売らず、自営線により災害公営住宅85戸と周辺の4つの病院や公共施設にCEMS(Community Energy Management System)で最適制御しながら地産地消。
年間256トンのCO2排出量を削減する。災害時に供給系統電力が遮断した場合にも、同タウン系統内のバイオディーゼル非常用発電機と太陽光発電、大型蓄電池を組み合わせ、最低3日間は通常の電力供給が可能だ。大震災のような長期の停電時にも、病院や集会所などへの最低限の電力供給を確保することで、地域の災害対応力を高められる。
一方、地域新電力事業者でもある東松島みらいとし機構(HOPE)から電力を購入することで、支払われた電力料金は市内で循環され市外への富の流出を防ぐとともに地域経済活性化にも貢献。地域新電力事業によって雇用が生み出され、利益は地域の課題解決や活性化に再分配される公益的なビジネスモデルとなっている。
東松島市は、「復興まちづくり計画リーディングプロジェクト」において、分散型地域エネルギー自立都市を掲げ、平成23年に内閣総理大臣より「環境未来都市」に選定された。今回のシステムは、環境省の補助金を受けて低炭素社会創出促進協会が実施している「自立・分散型低炭素エネルギー社会構築推進事業」に採択されたもの。防災と環境、地域活性の3つを考えた先導的な取り組みとして、注目されている。
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