静岡県焼津市はこのほどふるさと納税の返礼品として、生きた「オオグソクムシ」を提供すると発表した。15000円寄付した人には、駿河湾で獲れたオオグソクムシ2匹を生きたままクール便で送付する。同市がオオグソクムシを返礼品とするのは、昨年に続いて2回目。(オルタナS編集長=池田 真隆)
このオオグソクムシは昨年、焼津市が返礼品として申込受付を始めたが、ネット上では賛否が分かれた。同市としては、飼育用として提供しており、サイトには「海水(約10度から15度)で飼育すること」「定期的に水を入れ替えること」などの注意事項を記載している。
オオグソクムシは水深150~600メートルほどの深海に生息しており、 焼津が面している駿河湾で多く捕獲される。海の生物の死骸を食べることから海の掃除役とされている。
■「返礼品」頼らず51億円
ふるさと納税は返礼品争いになっているという批判が止まらないが、返礼品に頼らずに51億円集めた事例もある。ウェブ上でのふるさと納税の募集サービス「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク(東京・目黒)が始めたもので、寄付の使途を明確にした社会貢献プロジェクトを前面に押し出し、返礼品ではなく社会貢献内容によって寄付先を選ぶことができるようにした。
例えば、東京都文京区とNPO法人フローレンスなど6団体が協働で子どもの貧困問題の解決を目指す「こども宅食」プロジェクトでは、目標金額2000万円を大幅に超し、5900万円が寄付されている。このプロジェクトには返礼品がない。
2013年にサービスを開始してから、2017年11月時点で183件のプロジェクトが公開された。寄付金の流通金額は累計約22億円にのぼり、災害時の地域支援のために臨時に公開する「災害支援プロジェクト」の流通金額の約29億円を合わせると、これまでに約51億円がふるさと納税を通じて社会貢献活動に寄附されたことになる。
トラストバンクのガバメントクラウドファンディング/災害支援チームのグループリーダー・浪越達夫氏は、「ふるさと納税は、使途が明確な納税という形を取っているので寄付の敷居が低い。『私にも社会貢献ができる』と思ってもらえる。お礼の品を全否定するわけではないが、地域にお金が循環しないようなお礼の品では意味がない。私たちのサービスで、昨今の『お礼の品至上主義』というふるさと納税の風潮を払拭したい」と力を込めた。