古河市下大野の鉄工卸売会社「中央鋼材」古河工場で12月14日、アルバイトの秋山祐佳里さん(15)が屋根に設置された太陽光パネルの点検・清掃中に約13メートル下のコンクリート床に落ち、搬送先の病院で死亡した。児童労働の根絶を目指す認定NPO法人ACEは、この労働状況について「児童労働」に該当するとして声明文を出した。内容は下記。(オルタナS編集長=池田 真隆)
2017年12月14日午前10時55分ごろ、茨城県古河市の鉄鋼卸売会社、中央鋼材古河工場の屋根から15歳の少女が約13メートル下のコンクリート床に落ち、死亡する事故がありました。少女は事故当時、屋根に設置された太陽光パネルを点検、清掃する仕事をしていました。
この労働状況は「児童労働」にあたります。
児童労働とは、子ども(18歳未満)の心身および社会・道徳的な発達に悪影響を与える労働を指します。ILO(国際労働機関)は、2017年9月に発表した最新推計で世界の5歳から17歳の10人に1人、1億5200万人もの児童労働者が存在し、うち7300万人が危険有害労働に従事していると指摘しています。また、今回の発表で初めて先進国にも200万人の児童労働者がいるとの推計を出しました。
日本では、原則として15歳未満(義務教育期間中)の労働、そして18歳未満の危険有害労働が児童労働となります。今回の労働状況は、労働基準法第62条「危険有害業務の就業制限」違反となります。使用者は「高さが5メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務」に満18歳未満の子どもを就かせてはならないと年少者労働基準規則によって規定されているからです。これは国際条約に照らし合わせても、日本が批准しているILO182号条約において15歳以上でも禁止すべきとされる「最悪の形態の児童労働」にあたります。
死亡事故によって、児童労働の実態が明らかになったケースは過去にもあります。2012年に、栃木県の中学3年生の男子生徒(14歳)が夏休みのアルバイト中、群馬県の中学校体育館の解体工事現場で崩れた壁の下敷きとなって死亡しました。
労働基準監督年報第68回(2015年)によりますと平成27年度には年少者の使用(=児童労働)に関して297件の違反が報告されています。児童福祉法、児童買春・児童ポルノ禁止法、風俗営業適正化法などの違反、および人身取引被害などからも、児童労働が日本に存在することを示しています。
児童労働の主要な原因である子どもの貧困が深刻な問題となっている今、見えにくい貧困のなかに児童労働が潜んでいる可能性は否定できません。最悪の形態の児童労働条約において、加盟国による児童労働撤廃に向けた行動計画の作成と実施が示されています。まず、児童労働に関する調査の実施と現状の把握、さらに、労働監督官、行政、使用者、教育関係者等への児童労働に関する啓発を行うことを求めます。