文部科学省はこのほど、2016年度の日本人学生の海外留学状況について発表した。留学生の数は2009年度から毎年増え続けているが、2016年度は前年比1割増の96,641人となった。留学先で多い国・地域は、アメリカ合衆国20,159人(対前年比1,483人増)、オーストラリア9,472人(対前年比1,392人増)、カナダ8,875人(対前年比686人増)だった。(オルタナS編集長=池田 真隆)
近年の若者は「内向的」といわれることもあるが、この結果について、文部科学省の官民協働海外留学創出プロジェクト「トビタテ!留学JAPAN」広報担当の西川朋子氏は、「内向き化というより、二極化している」と述べた。大学や大学院の留学プログラムや奨学金が年々充実してきていることから、意欲がある層は実現しやすくなっているのが背景にあるという。
2014年度はトビタテ!留学JAPANで派遣した留学生が1000人規模で帰国した始めたことも、留学を決意する学生の背中を押したとみている。「彼/彼女らが周囲に留学の魅力を伝える啓発活動を行うことが必須化さられていることもあり、ロールモデルの話を聞く機会が増えて、留学を後押しされた学生が増えてきている印象がある」。
留学期間別に見ると、「1カ月月未満」の短期留学が全体の半数以上を占めて多いものの、一年以上の留学も前年比で、3割近く増えた。この背景には、「休学することの経済的、心理的ハードルが下がっていること、日本と海外の修士号が取れる大学院のデュアルディグリーなどの留学制度が充実してきたことも影響していると思う」とした。