少年院は12〜20歳未満の保護処分を受けた、犯罪を犯した又は犯すおそれのある未成年者が収容される施設です。更生のための教育を受けた後、出院しますが、社会の中に自分の居場所を見いだせず、再び犯罪に手を染めてしまう若者もいるといいます。「まっとうに生きたい」と願う者が集まり、出会いや居場所を通じて互いの社会復帰を支えたいと、少年院出院者が中心となって活動するNPOを取材しました。(JAMMIN=山本 めぐみ)

「まっとうに生きたい」と願う
少年院出院者が集まる場

2019年1月、「セカンドチャンス!関東」の仲間で千葉県市原市にある少年院「市原学園」の成人式に出席。OBとしてエールを送った

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全国9都道府県(東京、大阪、福岡、京都、長野、佐賀、北海道、兵庫、神奈川)を拠点に、少年院出院者が集まる交流会やイベント開催しているNPO法人「セカンドチャンス!」。

「現在は 100人くらいの仲間が出たり入ったりしながらゆるくつながっています」と話すのは、団体代表の才門辰史(さいもん・たつし)さん(37)。自身も18歳の時に少年院に入りました。

「運営メンバーの役員(理事・監事)は皆、少年院出院者。それぞれ仕事をしながらこの活動に携わっています。自分たちにとっても居場所の1つであり、心の支えになっています」と話すのは、団体理事であり京都代表の富岡大悟(とみおか・だいご)さん(38)。富岡さんもまた、2度の少年院を経験しています。

二人によると、少年院を出た人の再犯率は、25〜30%といわれているとのこと。「高いと感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、7割以上の人が、それぞれ困難を乗り越えながら社会で生活しています」と才門さん。その時に同じ背景を持つ仲間同士でつながり、支え合っていくことはとっても大きな意味を持つといいます。

「自分たちも含め、悪い居場所ではない、犯罪から離れた居場所をつくること。犯罪をやめようと思った時にその人が孤立しない、孤独にならないようにすることが、僕たちの活動の主旨。健全な居場所があれば再犯を未然に防ぐことができ、その人の人生、また新たな被害者を生むこともなく、その人生を守ることにもつながります。それぞれ日常生活を送りながら、互いに支え合う仲間として『居場所を作って、孤独にならない、孤立させない』ことを大切に活動しています」

2018年2月、福岡合宿のミーティングでの一枚。世代を超え、同じ意志を持つ仲間たち

「再犯防止は大切ですが、仲間同士のつながりを大切にしている私たちが再犯防止を活動の主旨として掲げてしまうと、僕たちとつながった後に再び少年院に入った子や、少年院に出たり入ったりを繰り返している子が参加しづらくなってしまう。そうすると彼らは居場所を失い、孤立し、再び悪い場所に戻ってしまうでしょう。だから、まずは『居場所であること』を大切にしています」

活動への参加資格を聞きました。

「『まっとうに生きたい』という願いを持っていること、それだけです。犯罪を犯した背景や少年院に入った経緯はそれぞれ全く異なりますが、いずれにしても『犯罪から離れてまっとうに生きたい』という思いを持っていれば活動に参加できます」

「施設を出た後、15分が勝負」

2019年2月、10周年シンポジウム開催後の記念撮影

「出院後の生活の中で居場所がないと、孤独に感じ、再び悪い場所に戻ってしまう可能性がある」と二人は指摘します。

「本人は犯罪をやめたいと思っていても、悪い仲間と縁を切るのが難しかったり、そこに居場所を感じていたりすることがあります。さらに悪い場所に戻れば、少年院にいたことがマイナスではなく、楽しい話や自慢話、ステータスにさえなります。再び悪い場所に戻らないためには、健全な居場所を持つことがとても大切です」

少年院や刑務所などは、「出た後の15分が勝負」といわれているといいます。「施設を出た時、まず最初に何を考えるか、誰と連絡をとるか、どこに向かうかで、その人のその後が大きく変わってくる」と才門さん。才門さんも少年院を出た時、「自分の存在がなくなってしまったように感じた」と振り返ります

「二度と犯罪を犯さないと誓って少年院を出たのに、『結局、誰も自分を待っていない』という事実を突きつけられ、行き場がなく、ひとりぼっちでとても寂しかった。『自分は少年院に入ってる方がマシやったんや』とさえ思いました。でも、悪い仲間たちは出院を喜んでくれます。そこに居場所を見出し、結局元いた場所に舞い戻り、再び犯罪に手を染める。すごくもったいないし、残念なことです」

5000人以上の元犯罪者から成る北欧の自助組織
「KRIS」との出会い

2013年1月、スウェーデンの刑務所出所者支援団体「KRIS(クリス)」のスタッフを日本に招き、合同イベントを開催。写真中央は、「KRIS」を立ち上げたクリステル・カールソンさん

「セカンドチャンス!」が活動の参考にしている団体が、スウェーデンにある元犯罪者の自助組織「KRIS(クリス)」です。

「この組織は、刑務所で様々な更生プログラムを受けたものの再犯を繰り返し、合計30年間刑務所に入っていた元犯罪者のクリステル・カールソンさんという人物が仲間と共に1997年に立ち上げた組織です。現在は5000人以上の元犯罪者たちが互いの社会復帰を支え合っています」

「ここが本当にすごくて、誰かが刑務所を出所するとなったら、近くの支部のメンバーがいち早く、ギャングよりも早くその人を迎えに行くんですね。そして、出所者とこれからのことをじっくり話し合うんです」

2010年3月、スウェーデンの「KRIS」を視察。国境を越え、良好な関係を築いている

「施設を出た人に孤独な思いをしてほしくないし、再び犯罪に手を染めることもしてほしくない。僕たちはまだそこまで大きな団体ではありませんが、この先、輪を広げて1000人2000人のネットワークができたら、北海道から沖縄まで、少年院を出院する子に対し、近くの仲間がつながっていくことができるのではないかという夢をもっています。そうすることで孤立や再犯も未然に防ぐことができるのではないでしょうか」

少年院を訪れ、経験者として講話も

浪速少年院を訪問する才門さん。「毎年お盆の時期に、院生分のお菓子を差し入れし、OBとしてのメッセージを伝えさせていただいています」(才門さん)

もう一つ、「セカンドチャンス!」が大切にしているのが、現在少年院にいる若者たちへのアプローチです。

「少年院の中でやり直そうと思った時、ここを出た人たちが皆どんなふうに生きているのか、情報が少なく、やり直すために何をどうしたらいいのかわからなかった」と才門さん。
「僕たちが少年院を訪問することで、入所している子たちが『こんな人もいるんだな』とか『こういう生き方もあるんだな』と感じてくれて、それぞれがロールモデルとしてヒントになってくれたら」と、メンバーが全国の少年院や更生保護関連団体、学校等で講演を行い、メッセージを発信してきました。

「何よりも、可能性は皆にあるのだということ、勇気を持って非行から抜け出すことで新しい仲間ができるんだよということを伝えています。僕たち自身も、少年たちの前で話をすることや活動を通じて自分を律することにつながっていると感じています」

「新しい世界を知ることが、
非行から抜け出すきっかけに」

世界各地を訪れるようになった富岡さん。アメリカ・グランドキャニオンにて、壮大な自然を前に

「新しい世界を知り新たな人間関係を築くことが、非行から抜け出すきっかけになる」と話すのは、富岡さん。16歳と18歳の時に少年院に入った富岡さんは「その世界に生きて、それが自分の生き方だと思っていたし、出院後もまた同じ世界に戻るつもりでいた。なぜならそこには仲間がいて、自分の居場所があったから」と当時を振り返ります。

しかし、2回目に少年院を出た後、友人の誘いでスノーボードを始めたことから、少しずつ世界が変わっていったといいます。

「楽しくて夢中になり、スノーボードをするために一人でも各地に行くようになって、新たな仲間ができ、徐々に価値観が変わっていきました。新しい世界を知って、『今まで自分が生きてきた世界がすべてではない』と感じ、どんどん引き込まれ、それが自分の生きがいになっていきました」

「新しい世界を知ったら、もう元の世界には戻れなかった。その後、悪いことからは足を洗い、日本全国や世界各地を旅するようになりました。やりがいのある仕事や趣味の発見、新しくできた仲間の存在、信頼してくれる人、信頼できる人との関係、守るべき大切なものができたおかげで、それまで生きてきた世界の外に素晴らしい世界があるのだと知ることができたのです」

昔よりも居場所がない、
現在の若者たち

2013年8月、富士登山合宿での一枚。20人ほど参加し、湖畔でテント泊、富士山に登った

現代の若者たちと接する中で感じている課題を聞いてみました。

「僕たちの若い頃は、いわゆる不良の傾向が強い時代でした。そこからエスカレートして犯罪に手を染めてしまうケースが少なくありませんでしたが、今少年院に入る子たちの傾向として、不良というより『ドロップアウト』してしまった子が多いと感じています」と富岡さん。

「不良の場合はグループの中にもコミュニティがあって、皆それなりに社会性を身につけていることが多く、悪いことをやめた後もそこを生かして社会でバリバリ働いている人や会社を経営している人もいます」

「現代の若い子たちは、社会性を身に着ける機会が乏しかったり逃してしまっていたり、家庭的な背景や社会的な問題など、複雑な事情を昔以上に抱えていて、居場所作りが困難な子が少なくありません。居場所がないという意味では、今の子たちの方が悪い生活から抜け出すことが難しいのではないかと感じています。そういった意味では今後、少年院出院者の居場所作りがますます必要になってくるのではないでしょうか」

活動の柱である交流会は、少年院出院者と地域のサポーターとが出会い、つながる場でもある。「毎年、長野交流会のサポーターが鍋を振舞ってくれます。色々悩みは出てきますが、力になってくれる地域のサポーターも沢山います」(才門さん)

最後に、社会に向けてのメッセージをお伺いしました。

「悪いことや悪い仲間との関係を断ち切ってまっとうに生きたいと思った時、孤立してしまい、孤独に陥ってしまうことがある。少年院を出た人たちは皆、多かれ少なかれそのような体験をしています。そうではなく、まっとうに生きたいと願った時、それを応援してくれる仲間がいる、僕たちはそんな場を築いていきたいし、願わくは社会もまた、厳しく温かく新しい一歩を応援してくれたらと願っています」

「犯罪を犯したという事実、少年院出院者であるという事実は消えません。でも、『どうせ少年院にいたんやろう』といった偏見や誤解は解いていきたい。一生懸命生きて、他の人たちと同じところに立っている人がいるんだということを示していきたいと思っています」

「少年院出院者が社会で生きていくためには、少年院出院者以外のたくさんの人たちと関わっていくことがとても大切で、必要不可欠です。まっとうに生きている、生きようとしている少年院出院者たちがいることを、厳しくも温かい目で見守っていただけたら幸いです」

「セカンドチャンス!」の活動を応援できるチャリティーキャンペーン

チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」(京都)は、「セカンドチャンス!」と1週間限定でキャンペーンを実施し、オリジナルのチャリティーアイテムを販売します。「JAMMIN×セカンドチャンス!」コラボアイテムを買うごとに700円がチャリティーされ、「セカンドチャンス!」の活動拠点を広げていくための資金や、少年院等に講話に訪れる際に必要な資金として使われます。

「JAMMIN×セカンドチャンス!」5/4~5/10の1週間限定販売のコラボアイテム(写真はベーシックTシャツ(カラー:ブラック、価格は700円のチャリティー・税込で3500円))。アイテムは他にパーカー、トートバッグやキッズTシャツなども

JAMMINがデザインしたコラボアイテムに描かれているのは、力強く羽ばたくワシ。ワシには「勇気、勇敢」の意味があり、どんな過去を持った人も力強く、空高く、新しい人生に向かって羽ばたいてほしい、それを応援できる社会が広がってほしいというメッセージが込められています。

チャリティーアイテムの販売期間は、5月4日~5月10日の1週間。JAMMINホームページから購入できます。

JAMMINの特集ページでは、インタビュー全文を掲載中!こちらもあわせてチェックしてみてくださいね。

少年院出院者に新たな居場所を。当事者同士が支え合い、再び犯罪に戻らず社会復帰できる道を〜NPO法人セカンドチャンス!

山本 めぐみ(JAMMIN):
JAMMINの企画・ライティングを担当。JAMMINは「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週NPO/NGOとコラボしたオリジナルのデザインTシャツを作って販売し、売り上げの一部をコラボ先団体へとチャリティーしている京都の小さな会社です。2019年11月に創業7年目を迎え、コラボした団体の数は300を超え、チャリティー総額は4,400万円を突破しました!

【JAMMIN】

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