少年探偵団に憧れていた少年時代と、謎解きイベントの原点である加藤家恒例 宝探し

—–子供の頃は少年探偵団に憧れていて、小学校3年生のときには実際に友人と少年探偵団を結成されていたということですが、結成者は加藤さん?結成されるキッカケはあったのですか?
そうですね、僕が結成者だったと思いますよ。アルセーヌ・ルパン、江戸川乱歩とか、マガーク少年探偵団、ズッコケ3人組とか、そういった小説がいっぱい図書館にあったから。
—–本は今でも読まれますか。
読みますよ。でも多忙になってきたこともあって、ちょっと慎重になっちゃって。前は時間があったから、60点、70点あれば何でも読んだんですけど。いまは時間が無くて月に1冊ぐらいしか読めない。80点、90点ぐらいないと嫌だから。よっぽど売れている本とか、誰かが強烈にオススメしている本じゃないと、なかなか読まない。
—–謎解きイベントの原点として、加藤家の恒例行事の宝探しをされていた、というエピソードが他のインタビュー記事にありました。そのキッカケとして、車の免許を取られたことがキッカケだったとお聞きしましたが。
それはねぇ、まったく記憶に無いと言うか(笑)。車の免許を取る前からやってたんですね。19歳ぐらいの頃だったかな。従兄弟と仲が良いんですね。僕の3~4歳下が10人くらいいて、ずっと遊んでて。あるとき宝探しゲームみたいなことをやろうって言って、チームを2つに分けて、どっちが謎を先に解くか競争だ、って。
子供たちが楽しそうにやってると、親とかおじいちゃんおばあちゃん達も集まってきて。親たちが入ってくると、なかなか走ってくれないから、じゃあエリアを広げて車を使ってやるか、みたいになって。お金を出し合って、親から総取りするという。基本的に、お金をかけないと面白く無いですよね(笑)。
——加藤家の宝探しイベントは今でも継続されているんですか?
一昨年ぐらいまでやってました。5チームぐらい作って、それぞれのチームが謎を作って、自分たちの宝物を隠して、他のチームと競うわけですね。だから、4つのチームの謎のプリントを手にして、謎を解いて宝を探す。
—–やはり、加藤さんのチームが強い。
いや、そんなことは無くて。昔から気づいていたんですけど、不条理に難しいイベントをやるチームが、やっぱり勝つんですよ。だから、僕みたいにプロフェッショナルで、ギリギリ解ける問題とか作ると、解けちゃうんですよ。
—–歴史モノの謎が多いんですか?
そうですね、歴史もあるし。ひどい問題はひどくて、小学校の銅像の形のシルエットだけがあって、どーこだって(笑)。一応ルールは、全員が解けない問題をつくってしまったら、そのチームは失格っていうルールだったんですけど、一人・二人は同じ小学校だったりして知ってるんですよね。分からないと、すべての小学校を回らなきゃいけなくなる。
そういう問題を10年以上作っていたから、脱出ゲームのようなイベントでも知識問題を出しちゃダメとか、ミスリードが多いとつまらないとか、っていうことはビジネス化する前からルールとしては知っていましたね。解けたときに嬉しい謎と、おもしろくない謎みたいなものは、山ほど経験していると思いますね。

本当に良いものを作れば、向こうから来てくれる

—–他のインタビュー記事の中に、自分から仕掛けるのは得意じゃない、というような言葉がありましたが。
たぶん、自分から仕掛けるのが得意じゃないというよりは、プレゼンするのが得意じゃないという意味だと思うんですよ。ライターをやっていたときに、音楽に関して自分の文章を一生懸命に出版社等に送ったりとか、音楽をレコード会社に送ったりとかいうのが、得意じゃないというか。だから、自分でボロフェスタみたいなイベントを作って、そこでライブをして、向こうから(お客さんが)来てくれるという状況を作っている。
今でも、会社としても、社員がどこか営業に行こうとしたりとか、宣伝してくれって頼みに行こうとすると、「嫌だ」と言っています。本当に良いものを作れば、向こうから来てくれるから、良いものを作り続けようと。
—–では、営業や広報担当者は社内にいない?
いないですね。広報も担当者というか、他の社員が管理の延長線上でやってくれてたり。
—–良いコンテンツを生み出すことに注力している。
コンテンツもそうですけど、やっぱり自分たちのことを好きになってくれる人じゃないと、僕らの仕事も分かりにくいんで。好きである程度調べて来てくれないと、分かってくれないかなぁと思って。分かってくれないと、仕事しにくいじゃないですか。俺たちって面白いんですよって言う人は山ほどいるじゃないですか。それが本当に面白いかどうか判断するのは僕らじゃなくて、僕らと組みたがっている誰かだと思うので、だからプレゼンテーションしても面白くないかなって。

誰からも何も言われなくなったらプレゼンしだすかもしれないですけどね、そわそわして(笑)

—–今のところは、何か御願いをして企画する、ということは無いのですね。
そうですね。でも、向こうから来たお話はしっかりお聞きして、こちらの会社として立場や姿勢を説明をさせていただいて、そこからやるやらないを判断しています。やるのなら、こういう感じはどうですか、とか。やらないなら、こういう理由で出来ない、ということを丁寧に説明しています。来た話は、全力でお受けする方法で考えますね。
—–加藤さんが考えて、ボツになってしまった企画はありますか?
いや、無いですね。基本的には自分たちで出来ることを思いつくから。
面白そうだなぁと思ったら、それをどうやって実現するかを考えますね。

面白いことを思いつくことは難しいことではなくて、それが採算性があるかどうか、実現可能かどうか。障害をどうやってクリアするかという、実現のためのクエストを山ほどやっていくので、それが面白いですね。安い物件を探す、とか。そういうことでテンションが上がりますね。

聞き手:オルタナS特派員 滝井圭一、中川真弓