12月10日、海外渡航を支援するNPO団体S.T.E.P.22(ステップ22)が、12期目となる奨学生の募集を開始した。同団体は、海外での自主的活動を通じて日本や世界に貢献していく奨学生に対し、資金援助と渡航準備サポートを行っている。

■社会貢献を支援

S.T.E.P.22は、「日本や世界に貢献していく人材を育成したい」という想いから、2002年に有志4名によって設立された。従来の修学を促す奨学金制度とは違い、奨学生自らが企画立案した活動計画を重視し、活動の計画段階から終了後のフォローまでを、幅広くサポートする。これまでに34名の奨学生が、28カ国で活動してきた。

活動地域、分野、年齢、性別の制限は、一切ない。活動内容については、奨学生自身が希望するもの、且つS.T.E.P.22が承認したものとされる。国際協力・国際開発の分野に限らず、環境、福祉、文化・芸術などであっても、それらを通して社会に貢献することができるものであれば、問題ないという。

10期奨学生 加藤翼さん(インド)


近年では、児童福祉やCSR、エシカルファッションをテーマに渡航した奨学生もいるそうだ。過去の活動者の中には、なでしこVoice代表の濱田真里さん、エシカルブランドEDAYA代表の山下彩香さんがいる。

彼女らのように、S.T.E.P.22の奨学生としての渡航がきっかけとなり、帰国後に新たな活動にチャレンジする人も少なくないという。

渡航期間は1カ月程度とあるが、過去には数カ月に渡って活動をした奨学生もいる。1カ月程度であれば、さほどハードルも高くないように思う。特に学生であれば、夏休みを利用して活動ができる、絶好の機会と言えるだろう。もちろん、時間さえ許せば、社会人であっても問題はない。

■サポートされる側から、サポートする側へ

奨学生は、サポートを受けて渡航するだけではない。帰国後は、今度は自らがサポートする側となり、次期の奨学生のサポートを行うのが、S.T.E.P.22の特徴の一つである。

S.T.E.P.22が掲げる理念の一つに、「ギフトネクスト」というものがある。人から受けた恩恵を次に贈るという意味のギフトネクストには、受けた恩恵をお返しするのではなく、別の人に贈って善意を広げていくことで、世界をよりよくしていこうというメッセージが込められているのだ。

そのため、スタッフは全員過去の活動経験者である。一年目は奨学生としての海外渡航に向けた活動をし、二年目はサポーターとしての活動を行う。この2年間を通して、「奨学生としての活動」となる。

10期奨学生の帰国報告会の様子


次期奨学生をサポートすることによって、他者に対して共感する力や、チームとしてのプロジェクト遂行する力が養われるという。一人ひとりのプロジェクトを、みんなでサポートしていくという形だ。

奨学生は、渡航までの期間に月2回の奨学生全体のミーティングや、必要に応じた個別でのミーティングを行う。スタッフの年齢や職業、経歴、興味分野も多岐に渡るため、多様なアドバイスが受けられるというから、心強い。

奨学生の中には、初めての海外という者もいるため、経験などは気にする必要もない。既に作られた企画ではなく、自らが企画立案した活動ができるため、本当にやりたいことにチャレンジできることも、大きな魅力だ。

応募の締め切りは、今月30日24時必着。募集要項や過去の奨学生の活動報告は、S.T.E.P.22のホームページで確認できる。また、今月17日には、法政大学にて募集説明会も行われる。海外での活動に興味がある人、また社会貢献をしたいと考える人にとって、この渡航は大きな一歩となるだろう。(オルタナS編集部員=大森清香)


S.T.E.P.22ホームページ
12期奨学生応募要項
12月17日募集説明会詳細