『ビッグイシュー日本版』の人気コラム「自閉症の僕が生きていく風景」の著者東田直樹さん(20)は重度の自閉症者である。話そうとした瞬間に頭の中が真っ白になってしまい、言葉が出てこないのだ。しかし、聞き手が待てば、必ず質問には答えてくれる。独特な世界観を持つ東田直樹さんに夢を聞いた。(聞き手・オルタナS副編集長=池田真隆)

東田直樹さん


ぼくは障がい者ですが、それはぼくを表すことではありません

——文章を書く時は誰を想像しながら書いていますか。

東田:誰ということはありません。テーマに一番合う人を思い浮かべながら書いています。
 
——もし社会貢献がテーマで若者に伝えるとしたらどのような文章を書きますか。

東田:社会は、共生社会の実現を目指していますが、現実はなかなか進んでいません。みんなが望んでいるにも関わらず、なぜ実現が難しいのかそんな理由を考えていきたいです。

——みんなが仲良くしたいと思っているのに、仲良くできないのはなぜでしょうか?

東田:人間は自分が強いと思わないと生きていけない動物だと思います。その理由のために、誰かより自分が強いということを認識したいのです。

——差別をすることで自分を認識するのですね。

東田:長い歴史の中で、差別は繰り返し行われてきました。ある意味、差別をすることで秩序が保たれてきたのではないでしょうか。しかし、それでは、もう生きる意味を人は見出せなくなったと気付いています。

東田さんが使う文字盤

——東田さんにとって、生きる意味とは何でしょうか。

東田:ぼくにとっての生きる意味は、まだ模索中です。人は自分のことを知ることによって、生きる意味を見つけられるのだと思います。ぼくは自閉症という障がいを持って生まれてきましたが、ぼくも望まれてこの時代に生まれてきたのだと信じています。

——東田さんの夢を教えてください。

東田:ぼくは作家として自立するのが夢です。それから人として恥ずかしくない行動ができるように練習していかなければいけないと思っています。ぼくは障がい者ですが、それはぼくを表すことではありません。人として何が大切かをこれからも考えていきたいです。


東田直樹オフィシャルブログ


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