「20代は捨て。今後の自分にプラスにならないと思ったものは潔く捨てればいい。捨てれば捨てるほど、視界と思考からノイズが取り除かれ、本当にやりたいことが明らかになるからだ」

これは、現在ニュージーランドと日本を往来するノマドライフを送る四角大輔氏(43)の言葉。15年間レコード会社に勤務し、アーティストプロデューサーとして、絢香、Superfly、CHEMISTRY、平井堅などを担当し、通産7度のミリオンヒットを達成した実績を持つ。

しかし、名プロデューサーといわれた四角氏も、つらい20代を過ごした。過度なストレスで不眠症や原因不明のじんましんが発症したり、顔面麻痺にもなった。赤面症のため人と話すことが苦手で、「おはようございます」という言葉さえ、どもってしまうこともあったという。ストレスに苦しんだ若い頃に、支えとなったものは何か。また、いかにして無名の新人をブレイクさせたのか。

「〝人は誰もがアーティスト〟これは僕の持論。あなただけに与えられた才能という独創性は必ずある。それは、ほんの小さなことかもしれない。自分がアーティストだと受け入れたとき、それはまだ、ささやかな芽吹きに過ぎないかもしれない。その小さな芽は、心ない大人にいとも簡単に封じ込められてしまう。誰にも邪魔されないよう、その才能を伸ばすことだけに集中して欲しい」

このメッセージを掲げ、今年2013年4月から7月にかけて、全国大学講義ツアー(法政、上智、立教、早稲田、東農、帝京、東洋、東工、福岡大学など全15箇所)を行った。そのツアーを終えたばかりの四角氏は、以下の言葉を引用しながら語った。

「創造性を解き放ち、夢を追い求める力を〝人に与えるもの〟こそが、最も革命的で変革力のある発明なのです」
− Amazon創業者ジェフ・ベゾス

「このベゾス氏が言っているような、人の中に眠っている小さな輝きや才能、そして情熱やクリエイティビティを解き放つような役割を、ぼくは果たして行きたい。複数の肩書きで仕事をしているが、ぼくの本当の肩書きは〝生涯アーティストプロデューサー〟だと思っている。ここで言うアーティストは、音楽アーティストのようなメジャーな才能のことだけじゃない。学生や主婦、会社員や起業家、そしてドロップアウトやひきこもりでも、誰もがこの世にたった一人の特別な人間で、アーティスト。普通の人なんて存在しない。ぼく自身やぼくの言葉に触れる、すべての人のアーティスト性を解放していきたいんだ」

自身の経験を振り返りながら、20代の若者たちへ魂のメッセージを届ける。



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無名の新人ブレイク請負人・四角大輔が語る〜才能の見つけ方(1)

「ぼくがプロデュースの成功方程式をもっていたわけではない。『正解』を握っていたのは彼ら一人一人。人の人生と同じで10組のアーティストがいたら10通りのプロデュース方法がある。答えは彼らの中にある」

「どんなアーティストも最初は『無名の個人』。ぼくが最初にその無名の個人に惹かれるのは、平均点の高さではなく、ただ一点の『小さな輝き』。小さいけれどその光が後に、とてつもなく大きな輝きを放つようになる。ぼくは、そのアーティストが本来『在るべき姿』に還れるようサポートをするだけ」

「ぼくらは常に自然とつながっているべき。太古から人間はそうしてきた。人が自然と向き合う時、思考がシンプルになって自由な発想ができるようになる。そうすると自分が何をしたいのか、何者なのかが分かってくる。大自然と接していると物事の本質が見えてくる」

「人間のプロダクティビティには限界があるが、クリエイティビティは無限。現代が抱える複雑かつ難易度の高い社会問題にブレイクスルーをもたらし、奇跡を起こすことができるのは、人間のクリエイティビティだけだ」

「他人の声や他人が作ったルールに惑わされず、もっと自由な発想で自身のクリエイティビティとオリジナリティを突き詰めてほしい」
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無名の新人ブレイク請負人・四角大輔が語る〜才能の見つけ方(2)


「自分らしくたくましく生きて」四角大輔が若者へ送る50のこと

「デジタルネイティブ世代のあなたこそ『日本に残された最後の宝』というのがぼくの持論。いま日本の未来は、停滞や後退という言葉でしか語られなくなっているが、ぼくは違うと思っている。未来は絶対によくなる」

「あなただけに与えられた才能という『独創性』に気付いて欲しい。それは、ほんの小さなことかもしれない。そして誰にも邪魔されないよう、その才能を伸ばすことだけに集中すること」

「まだまだ世の中はよくなるはず。世界で起きている問題を解決できるのは、地球上ではぼくら人間しかいない」
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四角大輔×為末大 「若者たちに伝えたい決断の思考法」

「登山でも人生でも『山頂至上主義』にハマってしまうと、身体や心の崩壊につながりやすい。歩き続けるためにスローダウンしたり、『逃げ道的な』安全路を選択する勇気も必要」

「ぼくらが教え込まれてきた『山頂主義』というオールドスタンダードの『型』を破ることが重要。けれど、型を破るためには、誰かのサポートが必要」

「退路を断つと、瞬間的には爆発的な勢いを得られるが、継続力にはつながらない。日本人は『初志貫徹』に縛られている人が多過ぎる」

「オンラインの状態では、人は『集中状態』には絶対になれない。オフラインタイムこそクリエイティブになれるとき」

「ぐっと入った状態を『アーティスト思考』、冷静に俯瞰する状態を『プロデューサー視点』と呼んでいる。アーティストはこの両方を持つべき」
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