8000人の観衆、約60社を前に夢をプレゼンする「みんなの夢AWARD5」が2月23日、日本武道館で開催された。536人ものエントリーから選ばれたファイナリスト7人が最終プレゼンテーションを行った結果、グランプリにあたる「夢AWARD」には、映画配達人プロデューサー・教来石小織さんが選ばれた。(オルタナ副編集長=吉田広子)

「みんなの夢AWARD5」でグランプリに選ばれた映画配達人のプロデューサー・教来石小織さん

「みんなの夢AWARD5」でグランプリに選ばれた映画配達人のプロデューサー・教来石小織さん

「夢AWARD」を受賞した教来石さんは、日本のアニメをクメール語に翻訳し、カンボジアの貧しい農村部にプロジェクターやスクリーンを持ち込んで、即席の上映会を行っている。

「大学時代に途上国を訪れた時、子どもたちに『夢は何か』と尋ねたら、ほとんど返事がなかった。唯一、身近な大人である『先生』と答えた子がいた。夢は、知らなければ描くこともできない。途上国で映画を上映することで、夢を思い描くきっかけになれば」(教来石さん)

教来石さんは子どものころから映画が大好きで、映画監督になるために大学では映画を専攻した。だが、その夢はかなわず、卒業後は10年間ほど会社勤めをしてきた。

「人生の転機があって、自分が本当にしたいことについて改めて考えたとき、『途上国に映画館をつくりたい』という昔の夢を思い出した。何も持たない自分には、夢しかなかった。でも、夢を持つ素晴らしさにも気付いた。これからも『夢の種まき』を続けていきたい」と受賞の喜びを語った。

■ 世界で初めて「宇宙ゴミ」を掃除する

「準夢AWARD」には、2017年までに世界初の「掃除衛生」の打ち上げを目指す岡田光信さんが選ばれた。宇宙では、使い終わった人工衛星やロケットの破片など、スペースデブリと呼ばれる「宇宙ゴミ」が地球の周りを回っている。年々その数は増え続け、問題視されているが、対処法が見つかっていないのが実情だ。

「宇宙の話だからといって他人事だと思わないでほしい。実は、天気予報やGPSなど生活に密着している。だれも手を付けなかったこの問題を日本人として解決していきたい」(岡田さん)

みんなの夢を応援する「みんなの夢AWARD5」は2010年に開始し、今年で5回目を迎えた。審査員と一般の投票によって選ばれた「夢AWARD」受賞者には、最大2000万円の支援金のほか、協賛企業各社からの副賞が与えられる。このほか、すべてのファイナリストは、共感を得た協賛企業からの支援も受けられる。

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