日本とコロンビアの教育。時代に合わせて改良を加えられながらも、それぞれが良いと思った方法で、これまで何十年と教育が実施されてきた。国が変われば、文化も変わる。そうした中で、日本式の教育方法を定着させることは、果たして最良の手段なのかという葛藤は常に抱いているという。

「システマティックに体系立てられた授業が行われる日本でも、学力低下や学級崩壊などの問題は尽きません。一方で、その真逆のような緩やかな文化を持ったコロンビアの中に、ボランティアとして飛び込んでいくのは正しいことなのかという葛藤は少なからず持っています。コロンビアには、日本の教育のような習慣やルールはありませんし、これまでそれで良しとされてきました。ただ、コロンビアの子どもたちの学力低下は深刻な問題ですし、最悪の場合はドラッグに手を染めてしまうということにも繋がってしまいます。日本のやり方が最良の手段かどうかは現時点では分からないですが、何もしないよりはした方が絶対にいいとは感じています。自分の活動を通して、先生たちが何らかのヒントを得てくれればと思い、日々活動しています」(藤岡さん)

日本の教育現場から一度離れてみることで、教育というものを見つめ直す機会にもなったという。幼少年期の教育次第で、国が良くも悪くも大きく変わっていくことをコロンビアで感じ、教育の持つ力と重要性を改めて噛み締めている。

「教育そのものが変わっていくには時間を必要としますが、希望となるのは一緒に活動に取り組む現地の人たち。日本のやり方をどんどん取り入れていこうという意識が、彼らの中に少しずつ芽生え始めてきているんです。変化には痛みや苦労を伴いますが、この国の良さは残しつつ、自分たちのペースで発展していく、その手助けができればと思っています。私が教育を通して実現したいのは、子どもたちの『きっかけ』づくり。自分で道を選べなかったような子どもたちが、未来を切り開いていける力を身に付けさせてあげたい」と藤岡さんは意気込む。

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