――起業に至った経緯は。

田村:工業高校に在学中からプラスチックを加工する工場で働き、卒業後はそのままそこに就職しました。しかし上司や先輩の指示通りに作らなければ厳しく口を出されて指導される環境が自分に合わなかったので、3年後に退職して独立しました。

ものづくりには何百万通りという方法があるにも関わらず、指示通りにするだけでは工夫も成長もないと思いました。人から一方的に指図を受けるのが好きではない自分の性格も理由としては大きかったです。起業してからは従業員に自由に仕事をしてもらうため、作り方については指示を出していません。

――自由だけでは会社を維持するのは難しかったと思います。

田村:個々に自由があるのと同時に、従業員は自分の仕事に責任を持っています。例えば受注した仕事が納期までに間に合いそうになければ、徹夜をしてでも仕上げなければなりません。私にも今までの経験があるので若い従業員が作業するのを見ると、回りくどいやりかたをしているな、と思うこともありますが、そこで指示を出せば会社が経営者の私ありきになってしまいます。

経営者には従業員の生活や家族ためにも会社を存続させる責任があると思っています。そのために従業員の成長を促して、社長である私がいなくても会社が存続するようになるべきだと思っています。

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