――従業員の自発的な取り組みはありますか。

田村:食器用洗剤やボディーソープを片手で取り出せるプラスチック加工製品のポンプである『かたポン』や『エコポン』を開発しました。どんな仕事をしているのかイメージし辛い自分達の会社を知ってもらうために、消費者向け商品を作りたいと私は普段から言っていました。

ただ本業が忙しく、そのような時間がありませんでした。しかし2008年にリーマンショックが起こり、一日中掃除しかしない日もあるくらい暇になってしまいました。そんな時に従業員から、時間があるなら社長が普段からやりたがっていた消費者向けの商品を作りましょう、と商品づくりの企画を練ってくれました。

一日中、会社でプレゼン大会をするなど会社全体で商品作りに取り組みました。そうして生まれた、かたポンは多数のメディアにも紹介され好評だったため、学生とコラボをして、かたポンに『おしゃれでエコ』というテーマを加えたエコポンも2011年8月に発売しました。これも雑誌や新聞など各種メディアでも取り上げられて会社のイメージ作りに大きく貢献してくれました。

――今後の展望は。

田村:私は50歳で社長を引退することを公言しています。それは会社が私の色に染まる前に次世代に引き継ぎたいのと同時に、若い人の方が早い時代の移り変わりに適応できると思うからです。それでも必ず守ってほしいことは自由な環境を大切にすることです。もしプラスチックを扱う会社でなくなることがあっても、自由と責任をきちんと果たすことは必ず守り続けてほしいです。

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