社会起業家支援を行うアショカジャパンでは2012年から、「(東北)ユースベンチャープログラム」を行っている。このプログラムでは社会問題の解決や東北の復興に対して、行動を起こしたいという気概とユニークなアイディアを持つ12歳~20歳の若者を支援している。アショカジャパンにより選出され、活動を続ける若者を特集する本企画。第13弾の今回は、南三陸町で伝統祭り「トコヤッサイコンテスト」を企画、運営する高校2年生の佐藤美南さん。(矢野大地)
東日本大震災が起こり、大切なものがたくさん奪われてしまった。震災後、一時的に岩手に引っ越しを余儀なくされた彼女は故郷南三陸町が大好きで帰って来てから、そこで何もできない自分がもどかしかったという。そんな時、先輩に誘われ語り部の活動をすることにしたのだ。
たくさんのバスが遠くから来てくれて、その人達に南三陸で何が起きたのか、震災前はどうだったのか、そして今は...そんな話をしているととても悲しくなり、逃げ出したくなる時もあった。
活動を通してさらに、どうしたら南三陸が盛り上がるのか、仮設にとじこもってしまった人たちを外に出すことがでいるのか、必死に考えたそうだ。
当時高校一年生だった佐藤さんは震災前一年に一度、南三陸町で行われていた祭り「トコヤッサイ」、その中で若者から年寄りまでたくさんのチームが大通りを練り歩き、楽しく踊った「トコヤッサイコンテスト」の復活を目指し動き出すことを決意した。
若干15歳の彼女が全てを行うには多くの困難があった。そんな時、地元の若い人たちの協力、全国の支援者からの協力、そして、同じ高校に通う友達の協力を得て、昨年7月に第一回を無事開催することができた。しかし、参加チームは2チームと震災前の盛り上がりには欠けるものがあった。そこで、定期的なイベントとチームのメンバーを募集して、今年の夏へ向けて必死に頑張ってきたのだ。
まだまだ、震災前の活気を取り戻したとはいえない。しかし、彼女の想いがこの一年で少しずつでも伝わった結果が出てきている。
この活動を始めて、彼女自身の悩んでいたこと、つらかったこと、そんなことがいい方向に進んでいる。
彼女は「きっかけをのがさないで欲しい。きっかけをのがして、後悔したことがある。でも、きっかけをつかんだことで自分の視野が広がった。自分の人生が変わるかも知れない。そんなきっかけをつかんでみて欲しい。何かをする選択を迫られた時。それをつかんでみてほしい。そうすれば、自分の人生がガラッと変わるかもしれないから」と話す。
この南三陸を始め、震災をきっかけに自分自身のやりたいことを真摯に向き合い、進んでいる子たちがいる。そんな子たちがこれから社会をどのようにいい方向に導いてくれるのか、楽しみという気持ちとともに僕らも動いていかないといけないと思わされる。
自分が社会の一員である事の自覚。彼女は若干16歳でそれをもっているのかもしれない。
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