ついにザンビアでの活動が本格的にスタートした。日本へ帰国するまでに残された期間はたったの一カ月。チルンド郡役所のコミュニティー開発員として活動する上で、まずはコミュニティーのことを知らなければならない。早速オフィスからフィールドへと飛び出し、村の住民へのインタビューを開始した。(横浜支局=田才 諒哉・横浜国立大学教育人間科学部4年)(前回の記事はこちらから⇒http://alternas.jp/study/it_social/57558

村の様子

村の様子

村を歩いていると、本当にたくさんの人が声を掛けてくる。「チャイニーズ!」と呼ばれて「ジャパニーズ!」と返すやりとりを何度したことだろうか。子どもたちも日本人の自分に興味津々で「ハウアーユー!」と話し掛けてくる。

その時、僕は「ファイン」と答えた後、必ず「ガムワンバ?」と返す。「ガムワンバ」とは現地語で「How are you?」の意味だ。突然外国人がその地域の言葉を使うものだからみんなビックリするものの、笑顔で「ガボット」と現地語で返してくれる。「コイツ現地語話せるのか!」と思われた僕に、そのあと怒涛のように現地語を浴びせてくるが、それはまったく分からないのが残念だ。

しかし、本当に少しの現地語を話すだけでも、住民との心の距離は一気に縮まる。世界のどこの地域に行っても、その土地の「こんにちは」「ありがとう」は絶対に覚えるべきである。

村の子どもたち

村の子どもたち

一カ月間という限られた時間を少しでも大切に使うために、派遣前から日本でできることはしてきた。ザンビアに行かれたことのある方に会ってお話を伺ったり、過去の隊員の方の報告書やアフリカに関する本を読んだり、日本でできることはできる限りしてきた。

日本で調べた中で、私がここで挑戦してみようと決めたことは、「マラリア対策」だった。統計データを見ても、マラリアに感染する人はとても多い。実際に生活の様子を覗いてみても、蚊帳を使っている家もほとんどなく、やはりマラリア対策は急務なように思われた。

インタビューの様子。役所の同僚に僕の英語を現地語に訳してもらった

インタビューの様子。役所の同僚に僕の英語を現地語に訳してもらった

しかし、実際に住民へのインタビューを進めてみると、驚くべき答えが返ってきたのである。

「マラリアなんてよくかかるからね、そんな大したことないよ」
「!?!?!?」

私たちが思うことと現地の人々が思うことには差がある。生活も文化も習慣も違う我々の価値観が、途上国の現場で「絶対」ということは絶対にないだろう。そこに生きる人がいる限り、本やデータを見るだけでは分からないことが現場には必ず存在する。

そして、マラリア以上に住民の方々が心配している病気があることが分かった。「コレラ」である。感染症の一つであるコレラは、汚染された水や食べ物が原因で罹ってしまう。水や食べ物が汚染される原因には色々あるが、川の水を利用することもあるこの地域では、川の汚染がコレラの原因となっている可能性は高い。

そして、その川が汚染される最大の原因は「ゴミ」である。この地域は本当にゴミがすごい。ペットボトルや紙パック、お菓子の包装などが至るところに溢れている。

いたるところにゴミが

いたるところにゴミが

そしてゴミで溢れかえる最大の要因は、ポイ捨てをすることが当たり前になっている習慣と、ゴミが地域の環境・衛生問題に繋がることを知らないことだと考えた。そこで、協力隊活動の目標を「地域住民への環境問題の啓発」に定めた。一ヶ月でこの目標を達成するために、いよいよ具体的なアクションに移すときがきた。(続く)

*この派遣は、青年海外協力隊の大学連携案件により実施され、現地先輩隊員、企画調整員、JICA本部および現地事務所、横浜国立大学のご協力のもと行われたものです。また、肖像権に関してはすべて確認の取れているものを使用しております
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