元不登校児だった高校生が和歌山の地域活性化に取り組んでいる。小幡和輝さん(耐久高校4年・18)は、2012年夏、「和歌山活性化プロジェクトWAKA!!」を立ち上げた。小学校・中学校時代を不登校児として、人と交わらずに暮らした小幡さんがエシカルに目覚めたきっかけは何だったのか。

地域活性化に励む小幡さん

小幡さんが不登校になったのは、小学校低学年から。「集団生活や規則が嫌だった」と小幡さんは振り返る。学校に行かずに、部屋でゲームをして中学校まで過ごしたという。高校からは地元の定時制高校である県立耐久高校に進学した。

高校2年生だった頃、校内で偶然、NHKが主催する中高生向けイベントのチラシを目にした。NHKの番組に対して、全国から中高生が集まり意見を発言する趣旨のイベントであったが、「チラシを見たときに、直感で行こうと決めた」と小幡さんは話す。

同イベントに参加した小幡さんは、「悔しさ」を感じたと話す。「活躍している同世代と出会い刺激を受けた。不登校だった経験を話せば、自分でも誰かを勇気付けられるのではないか」と心機一転、ワークショップやセミナーに参加するようになる。

地域活性化にきっかけを持ったのもこの時からである。「地域活性化のセミナーに参加して気付いたが、いつもいるのは同じメンバーで、内容も若者にはハードルが高いと感じる話ばかりだった。だから、若者向けの地域活性化イベントを開催しようと思った」と小幡さん。

これまでに3回のワークショップを開催し、約200人が参加している。参加するのは、小学5年生から69歳までと幅が広い。毎回県内で活躍するゲストを呼び、和歌山の魅力を語ってもらう。講演のあとには、参加者同士で和歌山の魅力を語り合うワークショップを開催する。

ワークショップでは隠れた魅力が話し合われる

ワークショップでは、自分しか知らない和歌山県の魅力を発表し合う。「いきつけのカフェ」から「お隣に住む名物おじさん」まで。小幡さんは、積極的に話し合う若者たちの姿を見て、「確かに、高校生は知識がなく複雑な内容の話はできないが、考えていないわけではない」と、確信する。

「和歌山県では就職先や進学先が見つからずに高校卒業と同時に、他県に出て行く人が多い。もし、若いうちから和歌山県が好きになっていれば、将来経験を積んで戻ってきてくれるかもしれない。和歌山をもっと好きになってもらいたい」と小幡さんは意気込む。(オルタナS副編集長=池田真隆)

和歌山活性化プロジェクトWAKA!!