1993年のNY世界貿易センタービル爆破を企てたテロリストを父親に持つザック・エブラヒム氏が1月29日、トークイベントを行った。ザック氏は少年時代、父親の影響で街から街を転々として過ごし、本名を変えるなど、隠れながら暮らした。辛いいじめを経験して、憎しみの中で育ったが、今ではテロリズムに反対する平和活動家として活動している。憎しみを優しさに変えた転機を話した。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

トークイベントは、エイブラハム氏の『テロリストの息子』(佐久間裕美子訳、朝日出版社刊)の刊行イベントとして行われた。登壇したのは、津田大介氏、翻訳を担当した佐久間裕美子氏、エブラヒム氏、篠田真貴子氏(東京糸井重里事務所CFO)

トークイベントは、ザック氏の『テロリストの息子』(佐久間裕美子訳、朝日出版社刊)の刊行イベントとして行われた。登壇したのは、津田大介氏、翻訳を担当した佐久間裕美子氏、ザック氏、篠田真貴子氏(東京糸井重里事務所CFO)

ザック氏は1983年3月24日アメリカ・ペンシルべニア州ピッツバーグ生まれ。7歳のとき、工業エンジニアのエジプト人の父エル・サイード・ノサイルはユダヤ防衛同盟の創設者であるラビ・メイル・カハネを銃撃し殺害した。

エル・サイード・ノサイルは服役中に、1993年の世界貿易センターの爆破を仲間とともに共同で計画する。テロリストの息子となったザック氏はその後、身を隠し、街中を移動しながら過ごす日々を送った。

学校では辛いいじめにあい、「憎しみの中で育った」と過去を振り返る。トークイベントでは、彼がテロリストに反対する立場を取るようになった背景について明かした。それは、「価値観やバックグラウンドが異なる人々と交流すること」と言う。

彼自身はテロリストの息子という特異な存在だが、あるとき、セクシュアルマイノリティーの人々と会話する機会があった。彼/彼女らもいわれのない差別や偏見にあっており、初めて「仲間」のような感覚を人に対して覚えたという。

この経験から、ザック氏は「優しくなるには、多様な人々と会話したり、食事すること」とした。そうすることで、世間の声に流されず、自分の意思を持つことにもつながると話した。

また、テロリズムに対抗するには、「相手のモチベーションを理解することが大切」と言い、戦う動機を分析することが必須と指摘した。

テロリストの息子(朝日出版社)

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