タイトル:電園復耕~大通りからそれて楽しく我が道を歩こう

なぜ人を押しのけて狭き門に殺到するのか?自分を愛し迎えてくれる人たちとの人生になぜ背いて生きるのか?
この書き下ろしは、リクルートスーツの諸君に自分の人生を自分で歩み出してもらうために書いた若者のためのお伽話である。(作・吉田愛一郎)

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◆ミスタービジネスマン

ダンはベースボールプレイヤーとしては体に恵まれなかったから、いろいろなトリックを考えたり覚えたりしていた。ツーストライクの後ではいつも振り逃げを考えていて、ワイルド ピッチにはいつもわざと空振りをして一塁に走った。もちろんキャッチャーとバックネットの間が広いスタジアムに限った事だったが、、、。内野フライをわざと落としてダブルプレーを狙ったり、当たっていないのにデッドボールを装ったり、隠し玉も二回ほど成功している。しかしこれらも素晴らしい脚力と器用な球さばきが出来るからで、彼のインサイドベースボールはまさにプロの技だった。

そして今度はアメリカのスポーツを牛耳っているユダヤ人のビジネスノウハウを学んで帰ってきた。ボストンフットウェアーのレオナルド シュタイン社長は言った。「ダン、ビジネスは先に売らなければだめだよ。ウチのスポーツシューズを日本で販売してもいいけど、ウチから仕入れる前に予約を取らなければだめだよ」

ダンは言った。「でも予約をとってもあなたは販売権をくれるかどうか分からないでしょう?」

50歳を少し出たハンサムな白髪紳士は穏やかに言った。「それはそうだ。しかしダン君はセカンドを守っていたよね。ダブルプレーの時ショートストップからのボールを貰ってからファーストベースマンに投げることを考えるのい?」

ダンは笑った。「ノー、取ると投げるは同時です」

「そうだね、それがプロだね。取って投げるを同時に出来なけりゃプロのベースボールプレイヤーにも、プロのビジネスマンにはなれないのだよ」

ボストンフットウェアーより10倍も大きいクロコダイルドリンク社。ダンは自分がセカンドベースマンで日本マーケットというショートストップのボールをファーストベースというクロコダイル社につなげるダブルプレーができるのかを頭に描いてみた。他の選手と違って、派手な遊びを控えて貯めた契約金やサラリーは5000万円ほどあった。

しかしビジネスでの5000万円などベースボールの大きさもないことくらいはアメリカのビジネスマンと交わるうちにダンには分かっていた。当時一ドルは200円強で、円の価値はアメリカで今の半分くらいだった。

売ってから買う。ダンはアメリカのベースボール、フットボール、バスケットボールのベンチで見たグリーンのタンクと飲料水の素となる粉末をクロコダイルドリンク社に航空便で送るように頼んだ。この粉末はプレミックスと呼ばれてそれにグルコースやクエン酸などを加えて製品にしてゆくのだ。

この続きは6月26日に掲載します

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