世界人口は2100年までに101億人に達する――。この予測は2011年5月3日に発表された国連の「世界人口推計2010年改定版」によるものだ。人口増加に伴う食糧不足や環境破壊が懸念されるなか、リンガント・ジャパン(東京・港区)は植物性食品を中心に食べる「菜食」の普及を通して、諸問題の解決に取り組んでいる。

同社が提案する「菜食で世界を変えるプロジェクト」は、学生食堂や社員食堂にベジミート(大豆・小麦由来の肉の代用品)を利用した菜食メニューの導入を目指すものだ。同プロジェクトは、多くの飼料用穀物を必要とする動物性食品を避けることで、世界の食糧供給量を増やすと同時に、環境負荷の低減も見込んでいる。

農林水産省の試算によると、1キログラムの豚肉を得るために7キログラムの穀物、牛肉の場合は11キログラムが必要とされる。同社は、これらの飼料用穀物の栽培を食糧用に切り替えることができれば、食糧供給量を増やすことができると考えている。国連食糧農業機構(FAO)の報告では、二酸化炭素の296倍の温室効果がある亜酸化窒素の約65%は家畜の排泄物から発生しているという。

同社代表取締役社長丸山玲子氏(30)は「食糧・環境問題の解決に加えて、菜食は低カロリーでコレステロールが少ないため、取り入れれば病気になるリスクも減る。週に1回、月に1回の頻度でも菜食を行う人を増やし、菜食をいつでもどこでも選ぶことのできる環境を整えたい」と普及への思いを語った。(オルタナS 高橋豊美)

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