社会起業家支援を行うアショカジャパンでは2012年から、ユースベンチャープログラムを開始している。社会のために行動を起こしたいという気概とユニークなアイディアを持つ若者を支援している。現在28組(現時点では35組)のベンチャラ―が、北海道から九州まで日本各地で活躍している(中にはカンボジアで活動する者もいる)。これから二週間に一回ずつ、彼らの活動を紹介していく。社会課題に向き合う若者たちの素顔に迫る。(アショカジャパン東北ユースベンチャラー=大前 拓也)

空の写真を撮り続ける、中川なつみさん

空の写真を撮り続ける、中川なつみさん

社会起業家支援を行うアショカジャパンでは2012年から、「(東北)ユースベンチャープログラム」を行っている。このプログラムでは社会問題の解決や東北の復興に対して、行動を起こしたいという気概とユニークなアイディアを持つ12歳~20歳の若者を支援している。

アショカジャパンにより選出され、活動を続ける若者を特集する本企画。第11弾の今回は今まで空を見上げる機会のなかった人が空を見て、空や自然の変化に気付き、空を好きになるきっかけをつくる「そらばとん」を行なっている関西学院大学3年の中川なつみさん。

私たちは空がそこにあることを気に留めることなど実は少ないのではないかと考える中川さん。空だけに限らず、私たちにとって「そこにあるもの」の存在があまりにも当たり前で、目の前で起こっている出来事がいつも通り過ぎていることに違和感を覚え、このプロジェクトを始めた。

アショカユースベンチャラー(中川なつみさん2)

「自分の大好きな瞬間の空を1枚だけ切り取ってほしい」。そう言って彼女はインスタントカメラを自分の大切な人に託し、やり直しのきかない1枚を切り取ってもらい、次の大切な人へ。

リレーのバトンのように次から次へインスタントカメラを託していき、全て撮り終えたカメラは再び中川さんのもとへ返ってくるようにし、その一人一人の大好きな瞬間、想いをノートに綴ってもらうようにしている。

「一度しかない空の表情、好きな空を探してほしい」と考える中川さんは、このそらばとんを通じて、ふとした瞬間に空に目を向ける習慣をつけてもらいたいと考えている。また、Facebookページで「今日の空は何色でしたか?」を作成し、ページを見ている人が今日の空がどんな色をしていたのかを投稿できるようにした。

始めは自分の周りの友達が投稿していたところから徐々に閲覧数が増え、彼女が出会ったこともないような方からも投稿がされるようになり、この活動が少しずつ広がり、ふと空を見上げる人が増えているのではないかと考える。

写真を撮ることを通して、空を見上げる機会をつくる

写真を撮ることを通して、空を見上げる機会をつくる

そんな彼女がアショカでの半年間の活動を通してたくさんの刺激を受け、時には「自分は本当にこれでいいのか」と悩んだことも。そして自分自身と向き合い、出した答えが「身近なことに目を向けよう!」私たちが当たり前と思っているが、実は当たり前ではないことをもう一度考え直す必要性があると考える中川さん。

その自分自身が知らなかった世界に触れる瞬間を大切にしたいと考え、現在では空にとどまらず、自分の知りたいと思ったことに積極的に取り組んでいる。

アショカユースベンチャラー(中川なつみさん4)

彼女がこれから見る世界が彼女自身にどのような変化を与え、どう動き出すのか。今後の彼女の活躍に期待したい。

アショカユースベンチャラーブログ:http://ashoka-japan.org/youth/?author=35