越後妻有の秘境秋山郷周辺からあちこちへ
大地の芸術祭の里
この日は天気にようやく恵まれた1日となった。
先ず全国農村景観百選に選定されている結東の石垣棚田に寄ってみた。
遠くの山並みと森を背景としたこの棚田の美しい緑と石垣の曲線は農村の原風景そのもの。
今やトレッキングコースとしても人気が高いと言うこの石垣棚田は、飢饉で食糧がなかった時代、この険しい山地に田んぼを作る為に開発、石が多い土地柄であった為その石と格闘しつつ、またそれを利用して出来上がったもの。
「アワやヒエが主食だった明治の始め、人々の米を食べたい、の一心が重機の無い時代にここまで開田した」(津南町観光協会発行パンフより)とも聞く。
こうして日本人の「心のふるさと」たる風景を造り上げ、また現代まで保ってきた人々の営みの強さこそが日本人の心の拠り所なのでは、と改めて思った。
この後、十日町エリアにある、絵本作家田島征三さんプロデュースの廃校(旧真田小学校)を利用した「絵本と木の実の美術館」を見学した。
信濃川の流木を利用して、住民の方たちと一緒に作ったカラフルで、しかも流水で動く仕掛けのオブジェなど田島氏らしい子供の心がそのまま形になったアートがあちこちの旧教室に遊び心いっぱいに点在している。
このようにあちこちにある廃校を利用した施設を訪ねるにつれ、村や集落の歴史が遠い過去に生まれ、そして終わりをつげ、また趣を変えて再生すると言う新しい歴史の誕生自体をこの大地の芸術祭は語っているんだなあ、と思ってしまった。
次号は住んでいた古民家住民アイターン組の小暮茂夫さん、兼業農家の小見(おみ)さんの草刈りのお手伝い(エンジンカッター草刈機を初めて使う)、これまた廃校利用の三省(さんしょう)ハウスの宿泊ネタを掲載予定。
まだまだ続く越後妻有り日記、懲りずにお付き合いください。(写真は伊藤きっこう)
―「2日目その3」に続く―
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