近年、大学生の休学する理由として、主な理由が海外留学やインターンなどである。しかし、この度休学して、地方都市の地域活性化に挑む学生をサポートする新プロジェクトが誕生した。

学生と話す島根県津和野町下森町長(右)

 


過疎化などで悩む地方都市の町長付となり、その町の町長の隣で共に町を変えていくInnovation For Japanというプログラムである。大学を休学して約1年間の地域活性化に携わる。プログラム中、学生には住む部屋と毎月10万円の給与が支払われる。1年間の任期を終えると自治体から任期終了書を受け取る。

 


このプログラムに関わった学生には特別就職サポートも行い、内定を得るまで就職支援をする。希望すればそのまま地域活性化に携わり続けることも可能である。

2012年4月から正式に始まるこのプログラム。11月下旬、第一期生が挑む地方都市の町長とプログラム参加希望者との交流会が開催された。3回開催された交流会には合計で50名を越える大学生が参加した。

第一期生が挑む地方都市は島根県津和野町である。人口8500人のこの町では65歳以上の方が4割を占める。東京からの飛行機も一日に一本しか飛んでいない。

かつては日本の原風景がそのまま残っているその風情から「山陰の小京都」と呼ばれ年間130万人を越える観光スポットとして人気を得ていた。

しかし、近年は活気が薄れ、このままだと若者は一層町を離れ、消費は衰退して、より高齢化と過疎化が進行していくことが懸念される。地域活性化へ課題山積の津和野町の下森町長は「何をしたらいいのかはまだ誰にも分からない。けれど、何かしなくてはいけないことは分かっている。私とともに津和野町を変えて欲しい」と訴えた。

地方都市の過疎化は津和野町だけでなく日本全国の自治体が抱える大きな問題の一つである。津和野町が抱えている問題はそのまま数十年後の日本が直面する問題でもある。2025年には団塊の世代が定年退職し、若者世代が日本を背負っていくことになる。そんな先の日本の姿を象徴している地方都市の再生に若者が挑むことで、これからの日本社会の運命は大きく変わっていく。

2012年1月下旬には町長付となる第一期生の学生(5〜10名)が決定する。Innovation For Japan共同代表の佐々木喬志さんは「地方の課題は複雑に絡み合っている。若い学生がその課題に対して動くことで、その地域の一人一人の行動を変えていくようなきっかけになれば良い」と期待する。(オルタナS特派員 池田真隆)


Innovation For Japan