東京では初のバリアフリーウエディング模擬結婚式イベントが開催される。東京・表参道の結婚式場アイビーホールで2月12日に行われる。共同主催のdow-corporation(どうコーポレーション)は「白い車椅子Felicita(フェリチタ)」と名づけられた結婚式用車椅子の販売やレンタルなどを行っている。

視覚障がい者や聴覚障がい者に挙式中の様子を声や手話で伝えるサービスも提供する


才野美和子代表(39)は「車椅子のユーザーの方から一般の結婚式場で行おうと思っても、前例がないと断られるという声をよく聞きます」と話す。

イベントは、実際に結婚を考えている足の不自由な女性が花嫁役としてパートナーと出演。模擬挙式のほか、車椅子用ウエディングドレスのお色直しなど、希望の式を安心して行えることを見せる。

以前結婚式場でアテンド(新婦の身の回りの世話をするスタッフ)をしていた才野代表には、時々車椅子を利用する弟がいる。そのせいか参列する親族の中に高齢者など車椅子を利用する人が気になっていた。

「せっかくおめかしされても、素敵なチャペルで車椅子だけ病院で使われているような普段のものでは、現実に引き戻されてしまう」

しかし国内外の車椅子メーカーを探してみても、式にぴったりのフェミニンなデザインのものは無かった。それなら自分で作ろうと2009年末にdowを立ち上げた。

フェリチタは30年以上の歴史を持つ工房で作られ、ウエディングドレスさながら白で統一。「チャペルに舞い降りた天使のように」ひじ掛けの部分もスワロフスキーを散りばめた羽のようなデザインだ。

「公園でフェリチタを使ったフォトウエディングを行った時のこと。新婦さんは車椅子の生活になってからは道を走行中も『他の人の邪魔になるのでは』と気遣ってしまったり、見下ろされていると感じたりで外に出たくなくなっていました。ですが、ウエディングドレス姿の自分に客から『おめでとうございます』『おきれいですね』と声をかけてもらったことが本当にうれしかったと言います。『白い車椅子』を通して、もっと色んな人に車椅子の人たちのことを知ってもらえたら」と、才野代表は抱負を語る。(遠藤一)


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