NPO法人クロスフィールズ(東京・品川)は2月6日、パナソニックに「留職」プログラムを提供すると発表した。
「留職」プログラムとは、企業の社員を数カ月間に渡って新興国のNGOや行政機関に派遣し、本業のスキルを活かして現地の社会課題の解決に向けて活動する取り組み。
新興国の現場に派遣された社員がその土地の文化・価値観を肌感覚で理解することで、「グローバル人材の育成」や「新興国の市場開拓」といった効果が期待される。
パナソニックから派遣されるのは、プロダクトデザインを専門とする技術職社員。ベトナム中部の都市ダナンに拠点を置く現地NGOで業務を開始する。同社員は2月6日に着任し、約1カ月間の業務にあたる。
派遣先は、10年以上前から、電気やガスがない地域向けに太陽光を活用した調理器具を開発・製造・販売している団体。調理器具の生産能力が低いという課題を抱えており、今回派遣される社員は、自分が持つものづくりの技術を活用して生産性向上に向けた活動を行う。
パナソニックの広報担当者は「参加者には、新興国ビジネスやCSR活動を担う人材に成長を遂げて欲しい。現地コミュニティへの貢献をする中で、本業での事業化を検討できるような商品やビジネスプランのアイディアを持ち帰ることを期待している」と期待を込める。
今回の「留職」には、現地に派遣される社員の他にも、経営企画、マーケティング、エンジニア、CSRなど様々なスキルを持った30代の社員が参加しており、総勢5名がチームとして活動にあたる。
5名の社員は1月上旬からチームとして事前準備の議論を始めており、現地に派遣される社員がベトナムに滞在している期間中も、チームメンバー同士はビデオ会議を活用しながら現地の課題解決にあたっていく。
さらに、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用することで、関心を持つ社員が誰でも活動に参加出来る体制を整える。プログラムが終了する3月末には、5名の社員が最終的な成果報告を社内で実施する予定になっている。
現段階では、同社内のパイロットプログラムという位置付けだが、来年度からは正式プログラム化を検討している。(オルタナ編集部=赤坂祥彦)