ゼロエミッションなど先進的な環境配慮で知られる家具メーカーの米ハーマンミラー社が、このたび、木製家具を専門とする伊マティアッツイ(Mattiazzi)社製品の独占販売を始める。

ハーマンミラージャパン(東京・千代田)は、2月9日にマティアッツイ社の木製チェアの内覧会を開催した。同社を弟と2人で創業したネヴィオ・マティアッツィ氏も来日した。

環境対策に積極的な両社は、同じデザイナーを起用した縁で出会った。マティアッツイ社の家具は、「マシン(機械)とハンド(手仕事)を駆使して」作られるのが特徴。コンピューター数値制御の工作機械を職人が操作して複雑な形を木材から削り出し、組み立てや仕上げ磨きを人の手で行う。

製造工程の一部を外部委託するメーカーが多い中で、マティアッツイ社は全工程を一貫して自社で担う。自社工場の約5000平方メートルの屋根には、ほぼ全面にソーラーパネルが敷き詰められている。

太陽光発電システムで1時間当たり200 ~700キロワットの電力を得て、足りない日は蓄電した分を活用。実際に電力の100%自給自足を実現している。同社のホームページには、日々の発電量がグラフで掲載されている。

ハーマンミラージャパンで販売が始まるのは、マティアッツィ社製の「ヒーセッドチェア/シーセッドチェア」「ブランカチェア」「オッソチェア」の3種。シーセッドとブランカにはセットになるテーブルも、それぞれ発売される。

いずれのチェアも、金属を一切使わず木製のジョイントで組み上げて、繊細なデザインの中にも十分な強度を確保している。素材にはイタリア国内の木を使い、製造過程で発生した木くずは回収して暖房の燃料にしている。着色には、水性塗料やアニリン塗料など環境負荷の少ないものを使っている。

なめらかな曲線を描くブランカチェアは、デザイナーのサム・ヘクト氏が木の枝から着想を得たもの。オッソチェアの「オッソ」はイタリア語で「骨」の意味で、ロナン&エルワン・ブルレックが左右対称の骨格のようにデザインした。価格は1脚12~14万円、受注は4月7日から。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)