■ 広告会社最大手の電通へ、コピーライターを目指す

大学卒業後は、電通へ入社。さらに1年後には、コピーライターになるために、クリエイティブ試験を受験する。

コピーライターを目指したのは、大好きな作家である、林真理子さんに憧れていたからだ。難関と言われている試験に見事合格し、広告制作の最先端の現場を体感出来るコピーライターとして働くこととなる。

しかし、念願のコピーライターになった後は、わずか1年半で退職する。

「後悔はまったくありませんでした。ポジティブな転職でした。転職のきっかけは経沢社長との出会いです」とはっきりと語る。

経沢社長とは、PRと女性のマーケティングが強みのトレンダーズ株式会社の創業者、経沢香保子氏のことである。



■ 転職を1時間で決めた経沢社長とのランチ

二人の出会いは2011年の5月。女子大生向けの就職イベントに共にゲストで呼ばれたことで実現する。

「初めてお会いした時に、以前からお会いしたかった旨を伝えると、後日改めてお時間を取って頂けることになりました。そのときにお話しさせて頂いて、感覚がすごく合うことを感じて、とても親近感を抱きました」


「それからメールのやりとりを始めたのですが、すごく相性が良いと感じました。普段の業務中はタスクに追われてメールや電話にすぐにはお返事出来ないことが多いのですが、経沢社長からの連絡はいつもタイミングが良く、すぐにお答えすることが出来ていました」

「現職のオファーを頂いたのは、去年の9月に経沢社長とランチをご一緒したときです。転職を打診された時は、寝耳に水でした」と振り返る。

しかし、経沢社長からの説明を受けているうちに、これは運命なのだと思ったと、当時の心境を明かす。

伊藤さんの自身のブログ「はあちゅう主義。」にも、転職を決めたのは「経沢社長とのご縁を感じたから」と書かれている。

打診を受けた1時間後には転職を決めて、翌日には電通に退職届けを提出。

■ メディカル美容のクーポンサイト「キレナビ」編集長に

転職は正解だったと話す伊藤さん。

「電通の伊藤春香とプライベートのはあちゅうは全く違っていました。でもキレナビ編集長としての伊藤春香は、オンでもオフでも変わりません」

「今まではオフの場でせっかく仲良くなってもお仕事でご一緒することは難しかったのですが、今ではオフで出会った方とも一緒にお仕事をさせて頂くことができています」

■ネット炎上回数多数、多くの読者から誹謗中傷を受ける

華々しい活躍が目立つ伊藤さんだが、「致命的な失敗は全て大学生のうちにやり尽くしました」と言う。

ブログを始めた当初はステルスマーケティングだと疑われたり、容姿への批判もあったという。炎上マーケティングの書籍に事例として掲載されたこともあり、Googleの検索エンジンで「ブス」と検索すると一番先に画像が出てくる時期もあった。

しかし、批判されてもブログを辞めたいとは思ったことがないという。

「炎上で学んだことはたくさんあります。どんなことを言えば炎上するのか感覚を掴めたり、何をしても反対勢力はいるということを学びました。誰か一人でもわかってくれる人がいればそれで十分です」

「ネット上の私への関心はそこまで長続きしないと感じていました。例えば、ネット上で数時間前に何気なく批判した人は、おそらく数日後には私のことなど覚えていないと思います。だから、そういった実態の無い人たちに対して自分が悩むことはやめました」

■ 「はあちゅう」のルーツ、子どもの頃から大切にしている一冊の絵本

読書好きな彼女だが、お気に入りの一冊として挙げたのは、ダイアナ・コールスの『アリーテ姫の冒険』という絵本であった。

この絵本は、読書好きなお姫様であるアリーテ姫が魔法使いから殺されそうになり、様々な試練を受けるが自分の力で乗り越えて、最後は困った人たちを助ける為に旅に出るというストーリー。

「読んだときにこれは私の物語だと思いました。今でも大切に保管しています」と笑顔で話す。

王子様の助けを待つだけのお姫様ではなく、自らの力で試練を乗り越えるアリーテ姫に自分を重ね合わせて、今日も伊藤さんは、はあちゅう主義を貫く。



伊藤 春香(トレンダーズ株式会社・メディカル美容クーポンサイト「キレナビ」編集長)

1986年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。在学中に「クリスマスまでに彼氏をつくる」「世界一周をタダでする」などのプロジェクトを行い、女子大生カリスマブロガーと呼ばれる。
2009年電通入社。中部支社勤務を経て、2010年からクリエーティブ局コピーライターに。
著書は翻訳版を含めて7冊になり、自身の新入社員時代を描いた最新エッセイ「アドガール 大手広告代理店新人日記」が好評発売中。
公式Blog「はあちゅう主義。」
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