新しい社会貢献のあり方として「プロボノ」が注目を集めている。プロボノとは、「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」が語源。「社会的な目的のために、専門的なスキルや知識を活かしたボランティア活動」を意味する。近年、日本国内でもプロボノに対する社会的関心が急速に高まっている。

それぞれのスキルを活かし活動するプロボノ


NPO法人サービスグラント(東京渋谷区)は、2005年から東京を中心に、「プロボノ」のプロジェクトを展開。お金ではなくスキルやノウハウを提供することによってNPOを支援する活動を行っている。

同団体には、営業、マーケティング、広報、デザインなどの専門的スキルを持つ社会人が全国で約1080名、大阪では約100名が「プロボノワーカー」として登録している。参加者の約7割が20代後半から40代で、半数以上は今までボランティア経験のない人、興味関心があってもボランティアとの接点やきっかけがなかった人であることが特徴だ。

昨年4月、関西エリアにおいて6件のプロジェクトがスタートした。異なるスキルを持つ5,6名からなるチームを編成。就業後や土日など週5時間を目安に活動、約6ヶ月間かけて環境や教育、障がい者福祉などに関わるNPOのウェブサイトやパンフレットなど具体的な成果物を生み出した。

プロボノに参加した人からは「自分のスキルや知識を活かして社会貢献できたので、自分の仕事を見直すきっかけにもなった」「普段の生活では出会わない人と出会い、共に同じゴールを目指せたのは、とても有益な経験でした」「社会やNPOに対する見方や考え方が変わりました」などといった声があがった。

サービスグラント関西事務局の岡本祥公子さんは「NPOは社会課題の代弁者として活動をしながら、総じてお金、人、専門的な知識などが不足しています。そのため、着実な活動を積み上げていてもそれを広く伝える情報発信をはじめ、組織の基盤作りに十分に力を注げないことが多いのが現状です。プロボノを通じてNPOが力をつけることで、対峙している社会問題の解決のスピードが増したり、何かに困っている人が一人でも多く救われたりすることに意義があると思います。プロボノは、自分の得意なことを生かしてよりよい社会作りに関わる、現実的で新しいボランティアの形です」と語る。(オルタナS関西特派員=北村洋樹)