震災から一年。安全で環境を破壊しないエネルギー使用、エネルギーの自由選択が一層求められている。このほど東京ビックサイトで開催された国際二次電池展では、電池やエコハウスビルディング、スマートグリット、水素燃料電池などの展示が行われた。世界初のコミュニティーを軸にしたエネルギーシェアのネットワークシステムを開発しているGELI(グローイング・エナジー・ラボ)の創設者で開発者のライアン・ワツナ氏に話を聞いた。
ワツナ氏はエネルギー蓄電のネットワークシステムGENI(グローバル・エナジー・インターフェイス)のソフトウエアを開発。GENIはオープンインターフェースシステムだ。ハードウエアでの要のシステムは、独自開発の蓄電リチウムイオン電池だ。
このシステムは、ソーラーパネルにシステムを組み込み、個人でエネルギーを生産し、余剰電力は蓄電できる。GENIは、コミュニティーの中でシステム使用者が複数の場合、GENIを使ってシステム同士を連携できる。さらに余剰電力はコミュニティー内で共有することもできる。
GENI利用時には、メールアドレスのようなURLがサーバーから各個人に与えられる。各アドレスから、各使用者の電気使用料、太陽光での電気の生産量、蓄電量、グループと個人の生活に必要な電気のデータを全て計算できる。そのデータに基づき各使用者の必要電気量を把握し明確な数字で割り出す。
そうしたデータを使用する事で、消費者個人が必要な電力を生産できるエネルギーバンク、そしてエネルギーオペレーターになれる。さらにソーラーパネルを使用する際に、電気使用の値から1世帯に何枚のパネルが必要かなど計算することが可能だ。
このシステムは電力会社との電力併用にも使用できる。自分の使用している電力の供給先がこのシステムから把握する事が可能。災害時に電力会社からの電力が途絶えても、蓄電池で電力使用ができるため、電力会社に頼らずコミュニティーや、個人で数字を使って災害対策ができる。このシステムは今夏発売予定だ。
しかしエネルギー法の改革が無ければ、個人が電力を自由に売買、共有することは不可能だ。ワツナ氏は、モートローラー社の元代表が結成した企業同盟ギャルビン・エレクトリック・イニシティブの中で、米国の消費者の安全なエネルギーの確保権利、正しい情報の配布、技術革新の取り入れ、消費者のエネルギー使用の選択の自由を訴える宣言書の作成に大きく関与している。
震災を経て、自然と共存しバランスの取れたエネルギーシステムの必要性を日本の誰もが切実に感じているのはないか。
日本のエネルギー改革についてワツナ氏は、「世界でグリーンエネルギーを使用しエネルギー自由化のリーダーとなるのは日本しかない」と語る。エネルギーに対する認識と消費者個人の環境責任は、電気エネルギーのグローバル化に必要であり、「革命」ではなく「進化」がエネルギー改革には必要だという。(オルタナS特派員=森本洋子)