「ガスタンクと地域の豊かな自然」-普通では考えられない光景がそこには広がっていた。
企業の生物多様性への関心が高まるなか、「大阪ガス姫路製造所」(兵庫県姫路市)では企業への生物多様性の取り組みを支援している兵庫県立「人と自然の博物館」(兵庫県三田市)と2002年から協働で希少植物の保護など様々な活動を積極的に実施している。



2010年からは、年に1度地元の小学生を敷地内に招き、多様な生物が集まりやすいミカンの木の植樹や、ビオトープ内の魚を手掴みできる環境教育の場として活用している。自然と触れ合う機会の少ない子どもたちは、「楽しかったまたここで遊びたい」と目を輝かせながら話したという。

所員に対しても生物多様性への関心を高めてもらうために、企業内ボランティアを定期的に募ってエビネやチトセカズラなど県内で絶滅危惧種として指定されている植物を製造所内の緑地で保護している。また希少植物を保護するだけでなく、成長を促進するために同博物館から植物が効率的に光を吸収するための間伐方法など専門的な知識の指導も受けている。

参加したボランティアからは、「身の回りにこのような施設があることで、多様性について当事者意識を持つ」「いったん関わると愛情がわき、植物ファンになった」という声が寄せられた。

同社広報部は「博物館と協力して行うので企業のコスト負担が少ないことから、活動を継続的にできる取り組みです。敷地内に緑の量をただ増やすのではなく、希少種を移植して緑地内の生物の多様性を高めることで、今後とも地域の絶滅危惧種を守りたい」と語った。(オルタナS特派員=喜多元哉)