リオ+20という言葉を初めて聞いた方へ。
この特集では2012年6月20日から22日にかけて開催されるリオ+20について総力取材していきます。毎週月曜日と金曜日に更新します。【1時間目】は「リオ+20とは何か」というテーマで全体概要についてご説明しました。【2時間目】はリオ+20に向けての日本国内での動きをご紹介します。

震災からの復興と強靭な社会づくりを世界へ発信する


——リオ+20についての日本国内での動き

■日本政府の方針

2011年9月23日、ニューヨークで開催された第66回国連総会における野田内閣総理大臣一般討論演説にて、リオ+20に向けてどのような方針を持っているのか言及しています。

「日本の経済成長を持続的なものにしていくために、低炭素社会の実現、グリーン経済への移行を推進致します。このための鍵を握るのが、再生可能エネルギー、省エネルギー、化石燃料のグリーン化などの分野での技術革新、いわゆるグリーン・イノベーションです。

日本の中長期的エネルギー構成のあり方について、来根の夏をめどに新しい戦略と計画を打ち出し、大胆なエネルギーシフトを目指します。エネルギー効率の高い住宅や家電、電気自動車などに代表される、日本の優れた安全で安心、そして環境に優しい技術に磨きをかけ、リオ+20などの議論を通じて、世界経済の成長とより良い未来のために有益な貢献を果たします」

■意見表明書について

——意見表明書とは?

意見表明書とはリオ+20で議題にあがる「持続可能な開発と、貧困撲滅の文脈におけるグリーンエコノミー」と「持続可能な開発のための制度的な枠組み」に関して、参加する各国政府がそれぞれの立場から意見を表明する文書です。

日本では、外務省が主導してこの文書を作成しています。「エネルギー」をはじめ、「食料」「水」問題に対する提言を重視している模様です。

■意見表明書は2箇所から発行される。日本の奇妙なポイント

——リオ+20国内準備委員会について

日本ではリオ+20国内準備委員会という団体からも意見表明書を発行します。同団体は環境省と外務省が呼びかけた、企業・NGO・地方自治体・農業者・先住民・青年団体ら9つの主要団体を中心にステークホルダーの対話・意見集約を図るために結成されました。

同団体から発行される意見表明書と、政府が発行する意見表明書を合わせて、日本の意見表明書を作成します。*リオ+20 地球サミットNGO連絡会の意見はリオ+20国内準備委員会が吸い取ります。

*リオ+20 地球サミットNGO連絡会について・・・
35のNGO/NPOで結成された団体です。各団体の情報交換、共有、提携を目的に活動しています。

リオ+20国内準備委員会・・・
事務局:環境省(主導)、外務省、三菱総研
共同議長:小宮山宏氏(三菱総研理事長)、崎田裕子氏(持続可能な社会をつくる元気ネット理事長)
委員会メンバー:経団連、経済同友会、日本商工会議所、JANIC、ICLEI、その他の各NPO/NGO、有識者など

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■日本政府の主要テーマについて

——リオ+20で日本が発表する提案は何か?

2011年11月1日に外務省が発表した資料によると以下の提案をする予定です。

① 防災・・・ポスト「兵庫行動枠組」の策定と開発政策への統合
② エネルギー・・・大胆なエネルギーシフトに向けて
③ 食料安全保証・・・持続可能な農業を通じた食糧安全保障の実現
④ 水・・・持続可能性のネクサス:統合水資源管理
⑤ 環境未来都市・・・誰もが暮らしたい街
⑥ 持続可能な開発のための教育・・・「持続可能な市民」育成イニシアチブ
⑦ 地球観測システム(GEOSS)・・・地球観測ネットワークの強化
⑧ 技術革新とグリーン・イノベーション・・・快適な次世代環境の実現
⑨ 生物多様性・・・自然と共生する世界に向けた愛知目標の実現

■ジャパン パビリオンについて

期間:6月13日—24日 *23—24日は一般公開
開催場所:ブラジル リオデジャネイロ アスリートパーク
コンセプト:「持続可能な発展」に関する日本のポテンシャルをオールジャパンで世界に示す

本会議とは別に自国の環境対応技術等を展示するパビリオンが開催されます。今回のジャパン パビリオンには4つのテーマがあります。

1、「絆」がもたらす復興——日本ブランドの発信——(外務省)
2、次世代に残す豊かな森・里・海——持続可能な開発に向けた日本の取り組み——(環境省・研究機関など)
3、日本のグリーン産業技術の発信——日本の優れた技術を世界に——(文部科学省、企業)
4、環境未来都市への取り組み——持続可能な街づくりに向けた自治体の取り組み——(自治体、企業)

——ビジネス界の役割とは何か?

途上国を含めた世界経済の流れがグリーン経済に移行するので、その中で省エネや省資源でのグリーン経済活動を行う日本の技術力を世界に発信します。


以上で、【2時間目】リオ+20に向けた日本国内での動きの紹介を終わります。次回、【3時間目】は4月20日金曜日に更新します。内容は、京都大学経済研究所准教授で地球サミットJAPAN2012発起人代表の佐藤正弘さんのインタビューです。

佐藤さんが見る「リオ+20の狙い」「地球サミットの歴史」などをお聞きしています。お楽しみにおまちください。