自然の恵みに感謝し、誠意を持って耕す――。そんな由来の名を持つ小豆島(香川県)のオリーブ農園が、荒れ果てた耕作放棄地の開墾、植樹に取り組んでいる。島の美しい景観を取り戻し、さらには農家が事業として日本の農村環境再生に貢献するモデルケースになることを目指す。

耕作放棄地を植林を通して再生する


全国的に農地面積が減少するなか、耕作放棄地は拡大傾向にあり、耕作放棄地面積率は昭和60年から平成17年にかけて約3倍に増加した。これに対して国は2009年に農地法を一部改正するなど、全国で農地の流動化促進に取り組んでいる。

人口3万人強の小豆島では急速に進む人口減少と少子高齢化を一因に、香川県のなかでもっとも耕作放棄地が多い地域だ。この問題解決に向けて名乗りを上げたのが、同島で70年間オリーブと柑橘類の農園を営む「井上誠耕園」。5年前から開墾・植樹事業に力を入れ、昨年度はかつて畑だった1ヘクタールの耕作放棄地を新しい畑へと再生した。今年は新たにオリーブの木250本の植樹を予定しており、5年後には収穫を迎えるという。

同園園主の井上智博さんは「耕作放棄地の開墾には、膨大な時間と労力、資金が必要。そこで育てた農作物や加工品を、お客様に買っていただくことで初めて持続可能な活動になる。誠耕園という名に恥じない事業に育てたい」と話す。(オルタナ関西支局=土井未央)



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