吉祥寺駅から徒歩6分、雑貨複合店舗「グラン・キオスク」の一角に「サイレント・カフェ」がある。
視覚パネルを使った独自のオーダーシステムを取り入れ、聴覚しょうがい者と健聴者の間の新しいコミュニケーションの場を提案している。

「サイレント・カフェ」は、聴覚しょうがい者と健聴者のバリアフリーを促進することを目的として2011年7月に三鷹市公会堂別館でオープン、2012年2月に吉祥寺「グラン・キオスク」内に移転したばかりだ。接客の前線で活躍するのは、聴覚障がいを持つスタッフ。

カフェは、手話や筆談によるコミュニケーション加え、視覚や味覚による楽しみを共有することで交流をはかる場となっている。イラストの描かれたマグネット・カードと視覚的なオーダーシートは、「サイレント・カフェ」独自のもの。「食券やタッチパネルでは交流の機会を失ってしまう。おしゃれなイラストを使うことでコミュニケーションを作りだすことができるのでは」と代表の渡辺由貴さん。

自分好みに甘さやフレーバーを135種類カスタマイズできる人気のバナナミルク(写真下)は、かわいらしいイラストが描かれたパネルを使う視覚的オーダーシステムで。




「今まで、聴覚しょうがい者だから接客は無理だと思っていました」と、スタッフの榊原由美子さん。「視覚パネルを使ったり、コミュニケーションをそれぞれの対応に合わせれば通じると分かりました。色々なの人との出会いが、この仕事のやりがい」。

聴覚しょうがいを持つスタッフの榊原由美子さん


代表の渡辺由貴さんは、「聴覚障がい者と健聴者との間に立って、接点を作っていきたい。今後、周辺の商店街や企業の間にも、バリアフリー輪を広げていけたら」と話す。静かなぬくもりのあるカフェで、心の会話を楽しんでみては。営業時間は土・日曜日の12時~17時。(オルタナS特派員=並原綾)