「フェイスブック・シティ課」「全職員がSNSアカウント取得」など、大胆で先駆的な施策を取り入れている人口約5万人の佐賀県武雄市に、また新たな風が吹こうとしている。

■武雄市図書館×CCC

2012年5月4日、代官山TSUTAYAを会場に行われた『武雄新図書館構想』についての記者会見、武雄市図書館・歴史資料館の企画・運営に関する提携基本合意の様子は、Ust中継され、一気にアクセス数が上がった。TUSUTAYAを運営するCCC(カルチャー・コンビニエンス・クラブ)社長増田宗昭氏と樋渡啓祐武雄市長は、互いの決断力とリーダーシップを認め合っているのは当然の様子。

樋渡市長は、都市と地方を結び、「地域文化の向上から日本を元気にしたい」と、新たに生まれる地域活性ロールモデルへの挑戦へ大きく胸を膨らませているようだった。樋渡市長は、「市民の生活をより豊にする図書館」を目指し、そのための取組を『9つの市民価値』の変化としてプレゼンした。

1. 20 万冊の知に出会える場所  2. 雑誌販売の導入  3. 映画・音楽の充実  4. 文具販売の導入  5. 電子端末を活用した検索サービス  6. カフェ・ダイニングの導入  7. 「代官山 蔦屋書店」のノウハウを活用した品揃えやサービスの導入  8. Tカード、Tポイントの導入  9. 365 日、朝 9 時~夜 9 時までの開館時間。

CCCと武雄市は、2013年4月1日の実現を目指す。図書館内で、自由にお茶が飲め、陽当りの良い「マガジンストリート」にはソファーを設置、子ども向けのゾーン、まるで自宅に居るかのようなリラックス空間を目指す。プライベートブランドの文具販売や観光客へTカードで本を貸し出すサービスの検討など、温泉地らしい観光客も視野に入れたサービスも検討している。

CCCの増田社長は、「これからは地方の時代。我々の店舗も8割が地方に存在する。CCCの培った企画力と、武雄市図書館、武雄市民の一体感を併せることで、ひとつのロールモデルをつくりたい」と語った。

図書館内部の様子


■走り続ける理由

一市民として、現在の武雄市図書館は、雰囲気もよく評判は良いと感じている。約200年前、佐賀・鍋島藩の武雄領主が「借景」として楽しんだと言われる「御船山」は、今でも変わらず図書館の背後に堂々とそびえ立ち、武雄の文化、歴史、自然、人が集うのを見守ってくれている。建築デザインもスマートで、景観と見事にマッチして格好良い。

なのに、なぜ、更に図書館改革が必要なのだろうか。図書館に限らず、なぜ、樋渡市長はいつも、前へ、前へと目を配らせ、手足を動かすのだろうか。佐賀県武雄市に住む私なりに思うことをまとめてみたい。

人口5万人の武雄市は、他の地方と変わらず少子高齢化が進んでいる。人口構成からみれば、高齢者率は全国平均より高く、平均より10年早く高齢化が進んでいることになる。これは、国の施策よりも10年早い対策が、地方の町や現場には必要とされているということだ。

高齢化、生産人口の減少、インフラの維持管理、子育てや介護をしながら働ける環境の整備…、目の前には地域の課題が山ほどある。行政のお財布は、今も、これからも厳しい。こんな中で、20年後30年後、行政は行政だけでどんなサービスを提供できるだろうか。

予算や職員は減り、サービスの質は下がり、当然、私たちの将来には不安ばかりが増すことになる。次の世代の生き方に大きく影響を与えるだろう。新しいことへ挑戦し続けなければ、結果的に、路頭に迷う市民が増えることになる。

「止まっちゃダメだ」
記者会見でも、自身のブログでも、市長は言葉にしている。市長のユニークな施策は、本当に次々と出てくる。

「メリットは、後から付いてくる。やってみなきゃわからない。」
全国で1400店舗を営業し、企画力と運営力を備えた増田社長は、記者会見でこんな言葉を口にした。

リーダー達のフロンティア精神を垣間見る言葉だ。

図書館外観


■協働への視点とSNS

行政と民間(企業やNPO)は、性格も得意分野も違う。互いの良いところを尊重し、足りないところを補い合うことで、現状よりも更にレベルアップしたサービスが双方に実現する。それが結果的に、民間側にも、市民・住民の生活へも循環すれば嬉しいことだ。

将来に敏感な自治体は、「協働」の優先順位が高いと言われる。行政の逼迫した現状や地域の人口予測から、危機感を持っている市民や職員が多い地域ほど、仕組みづくりがちゃんと進んでいる。

闇の多かった時代とは違う。SNSの導入が進み、これまで見えていなかった行政の仕事を「見える化」しようとする武雄市の取組みは、単に人がつながるだけでなく、行政が行う事業が、『何のために、誰のために、何をするか』をちゃんと伝えられることが重要だと思うし、市民もそれを期待していると思う。

地方の小さな町の、新たな挑戦の数々に、注目が集まっている。(オルタナS特派員=中村よもぎ直子)


◎記者会見Ust  http://www.ustream.tv/channel/takeolibrary
◎CCC  http://www.ccc.co.jp/
◎武雄市HP  http://www.facebook.com/takeocity



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