ネット上で資金を集めるクラウドファンディングが去年の東日本大震災以降、注目を浴びている。資金を集めることに成功した秘訣は何だろうか。

4月30日には、日本初のクラウドファンディング「Ready For?」(レディフォー)で陸前高田市に新設した図書館の本棚や図書を購入する資金を集う「陸前高田市の空っぽの図書館を本でいっぱいにしようプロジェクト」が、約1ヶ月半の期間で目標金額200万円の4倍以上となる824万円を集めた。

自分たちも立ち上がりたいという想いから陸前高田市在住の方からも出資があったという


また、3月には、大学生が発案したミャンマーの医療困難少女を救うプロジェクトが300万円を集めることに成功している。さらに、去年12月に渋谷にオープンしたクリエイターのコワーキングスペース「co-ba」(コーバ)はクラウドファンディング型マイクロパトロンプラットホーム「CAMPFIRE」(キャンプファイヤー)で「co-ba」プロジェクトとして、立ち上げ資金75万円を集めた。

共感を集めるポイントはどこにあるのだろうか。
「陸前高田市の空っぽの図書館を本でいっぱいにしようプロジェクト」の担当者であるシャンティ国際ボランティア会広報課長兼岩手事務所図書館事業スーパーバイザーの鎌倉幸子さんは「出資者が自分の好きな本を置けることでこのプロジェクトを私事として捉えてくれて、それが共感を集めたポイントになったのではないかと思う」と語る。

立ち上げ資金を集めることに成功したコーバプロジェクトの発案者であるツクルバ(東京・渋谷)代表取締役中村真広さんは「クリエイターとコワーキングスペースのキーワードに絞ったことが共感を集めた要因だと思う。フリーランスだけど、共同作業したいという潜在ニーズに上手くマッチしたのだと思う」と語る。

マイクロパトロンプラットホーム「キャンプファイヤー」では、2011年度の成功したプロジェクト数は50件。うち11件は社会貢献型のプロジェクトであり、カテゴリー別では最も多い。同サイトを運営するハイパーインターネッツ(東京・港)によると「2012年は生み出すフェーズから成長させるフェーズへ。多くのプロジェクトを掲載して年間で1億円の成立額を目指す」という。

現在、同サイトでは、石巻で被害を受けた67歳の男性が定置網漁のための資金集めとして、漁業復興プロジェクトを掲載している。フェイスブックの「いいね」数も掲載後1週間足らずで300近くを獲得した。若者だけでなく、老若男女に広がりを持つクラウドファンディングの勢いは止まりそうにない。(オルタナS副編集長=池田真隆)



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