札幌市中央区に本社を置き、東京にもオフィスを構えるウェブ制作会社24-7(トゥエンティフォーセブン)は、IT業界の人を対象に170平米の空間をコワーキングスペースとして開放している。

赤沼俊幸さん


コワーキングスペースはアップルの創業時の姿にちなんでGarage labs(ガレージラボ)と名付けられ、昨年11月の本社移転をきっかけにオープンした。利用者は初回に1000円のディポジットを支払うのみで、その後は自由に利用できる。コピー代は実費だが、その他電源はもちろんのこと、座席の使用料等は一切かからない。飲食も自由だ。

利用者はIT、クリエイティブ業界に関わっていて、フェイスブックのアカウントを持っている人と限定されているが、大小2つの会議室もガレージラボ利用者は無料で使用できる。

「もともと24-7の代表(田村慶さん現在は東京在住)は札幌で起業し、札幌で育ててもらった。その恩返しをしたいという想いから、地元で何かやりたいけどお金が無い若い人に投資をしたいと思っていた。しかしながら現時点での体力では金銭的な投資は現実的に難しい。たまたま、本社移転の際に札幌都心部からやや離れたこちらの物件が当初の想定より比較的安い金額で借りる事ができたので、Garage labsとして開放することとなった」と現在実質的にガレージラボを管理している24-7新規事業開発チームの赤沼俊幸さんは語る。

現在、札幌近郊には数百とも言われるWEB開発会社が存在する。仕事は存在しているのだがコスト競争が激しく、そのしわ寄せが技術者に来ている。ガレージラボの利用者は、消耗していく現状と先が見えない未来を自ら打破しようと独立した技術者やクリエイターが多い。

「インターネットを利用したビジネスで、北海道に雇用を生み出すグローバル企業の創出」24-7が目指しているガレージラボの姿は、この理念からも伺える。さらに赤沼さんは語る。

「世界に向けて発信する事ができれば、札幌のエンジニアを取り巻く状況も改善されるだろう。そのためにはガレージラボから世界を変えていくビジネスがもっと産まれてほしい。札幌発の初音ミクが世界に拡散したようにその種はまだまだ十分にある。実際に24-7はシンガポールに今年、オフィスを開設した。そこから東南アジアを全域に広がるビジネスを考えている」

さらに注目したいのがこのガレージラボの運営が、24-7という一民間企業によってなされていることだ。北海道経済は全国でも公共依存度が突出しており、この手のインキュベーションサービスも公的な事業が関与していることが殆どだ。地方初の企業が世界に先駆けて進出する姿を自ら見せつつ、後に続く地元の起業家を支援し共に大きく成長していく。この企業姿勢がこれからの地域活性の鍵を握る。(オルタナ北海道支局長=横山光紀)


Garage labs


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