すかや呉服店(三重県多気町)は3月5日、三重県の伝統工芸品である伊勢木綿などを使った日本初の伝統工芸専門着物レンタル店「伊勢きもの あやの」を、伊勢おかげ横丁にオープンした。地域で作られた衣装を、その地域で身につける「地産地装(ちさんちそう)」をテーマに、着物を通じて三重の文化を体感してもらうことが目的だ。(オルタナS関西支局特派員=近藤 浩己)

着物を通じて三重の文化を体感

着物を通じて三重の文化を体感

店舗で用意されるのは、天然素材ならではの柔らかさが特徴の伊勢木綿や、伊勢神宮に奉納している松坂木綿、手彫りで繊細な模様を彫る伊勢型紙などを使った着物約100種類。いずれも、100年以上の歴史を持つ伝統工芸品だ。着付けも含めてレンタル4000円から。伝統工芸の着物を着て、伊勢神宮への参拝や町歩きが楽しめる。また店舗では、伊勢型紙の手彫りから織物の染色までを、写真と動画で紹介していく。

経済産業省の調べによると、和服の小売金額は、昭和56年の約1兆8000億円(推定)をピークに、30年間でおよそ7割減。日本人の着物離れがうかがえる。一方で、着物を着たことがある女性に、今後も着物を着たいかを尋ねると、20代では約8割の女性が「今後も着物を着たい」と回答。37%がレンタルを希望していた。着たいシーンでは「普段着として」「日本文化の発信手段として」と答える人も多く、「ハレの日」以外で着物を着てみたいと考える若い世代が多いことがわかった。

ブランドプロデューサーの小尾野香織さんは、「三重の文化資源である伝統工芸着物を、レンタルで気軽に体験してもらいたい。着物は、見るだけ、聞くだけではなく、着ることで文化を感じられる。三重の文化に興味を持つきっかけになれば」としている。

参考:経済産業省2015年度委託調査報告書

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