復興者支援を行う当事者団体「手をつなぐ3.11. 信州」はこのほど、長野県松本市で古民家を利用し、誰もが気軽に訪れたり、相談したりできる場所をオープンした。保養など短期の宿泊も受け入れている。

「手をつなぐ3.11信州」の民家の前で、代表の森永さん(左)と事務局長の竹内さん

長野県内には約1200人、松本市には約300人が避難しており、当事者同士のネットワークの必要性を感じて発足した。代表の森永敦子さんと事務局長の竹内景子さんを中心に、古民家にはメンバーが常駐している。

一泊1000円で宿泊もでき、移住先を決めるまでの避難場所や保養地としての役割を果たす。福島原発や放射能をはじめ、避難する生活について情報発信の場にもなっている。

森永さんは昨年5月に、原発から90キロ離れている福島県西郷村を出た。「めまいがして、ひどい頭痛がした。歯茎も腫れて痛く、歯ブラシを当てられないほどになった」という。当時11歳だった息子も頻繁に鼻血が出た。

しかし息子の通っていた小学校は、放射能の影響は無いとの見解。学校に異議を唱えると「カウンセラーを呼びましょうか。心配すぎはストレスのもと」との対応だった。

昨年5月6日にフランス製のガイガーカウンターで校庭の滑り台下を測定したところ、5.9マイクロシーベルトという高い数値がでた。昨年7月に自宅へ荷物を取りに戻ったところ、数カ月でタラの木が倍近くの太さになっており、植物に異常が出ていると感じた。

竹内さん一家は東京・練馬から移住してきた。信州にきて体の不調がおさまり、放射能がないことを体感しているという。「自分や子どもの命を他人に預けることはやめよう」と呼びかけ、避難できない人たちに安全でおいしい野菜を届ける活動もしている。

7月28日から8月12日まで、子どもたち20人受け入れる保養プロジェクトを計画しており、「小さい子はもちろん、避難しにくい高校生や大学生も受け入れたい」と話している。地元の人から農産物や絵本を分けてもらうなど交流の輪も広がっているという。ボランティアも随時募集している。(田口理穂)


「手をつなぐ3.11信州」事務局
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