東日本大震災の被災者が仮設住宅をより住みやすくするために、新潟大学工学部の岩佐研究室が立ち上げたウェブサイト「仮設のトリセツ(=取扱い説明書)」が注目を集めている。同研究室の学生らの声がきっかけとなり、4月30日にオープンした。

 

サイト内では、仮設住宅に居住するための心得や、被災者が長期間居住する上で必要となる情報を掲載している。たとえば、緑のカーテンでの暑さ対策の方法や、窓の内側にプチプチ(梱包材)を貼って結露を防ぐ方法といったように、具体的な手順を写真付きで掲載している。すべての情報は印刷用にダウンロードできるため、印刷したものを支援物資とともに被災地へ送る利用者もいるという。

 

このサイトを立ち上げた岩佐研究室では、2004年の中越地震をきっかけに、仮設住宅の調査・居住環境の支援プロジェクトを2年間に渡り行ってきた。今回のサイト開設にあたっては、その際の経験やデータをいかに分かりやすく伝えることができるか留意したという。

 

同研究室を指導する岩佐明彦准教授は、「仮設住宅と一口に言うと、被災者にとってすごくネガティヴな印象があるので、それを取り除く目的もあった。私たちが経験した中越地震の仮設住宅は3千戸。今回の震災では6万戸の建設が計画されており規模がまったく違う。今後は長期間の居住において、孤独死などの問題が発生する可能性があるので、中越地震の仮設住宅居住者の実体験をもとに情報提供をしていきたい」と語った。